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2011年7月26日火曜日

基礎ミクロ31:期末試験

期末試験でした。以下、サンプル問題。

問2:プライステイカーである企業の供給量について考えよう。この企業は現在、生産量Xを市場に供給している。Xにおいて、平均費用は最小化されていないが、その平均費用AC(X)は市場価格pよりは小さいので利益は出ている。

a). 利潤と現在の生産量Xについて、上で与えられた情報をもとに、以下の選択肢のなかで最も正しそうなものを選びなさい。
 1). 生産量を増加させることによって、利潤を増やすことができる。
 2). 生産量を減少させることによって、利潤を増やすことができる。
 3). 利潤最大化を達成しているので、生産量を変化させる必要はない。
 4.) この情報だけでは、なんともいえない。
b). 生産量を増やすと平均費用はさらにあがってしまう状況だということが、新たに判明した。図解してください。しかし、部長は「生産量を増やせ」といっている。部長のいうことを信じたものかどうか、どのように判断すべきか。

問5:若年期(今期)の消費をC1、老年期(来期)の消費をC2として、2財モデルを考える。当初の資産がMだけあり、他に収入はない。貯蓄Sが常に正となるような効用関数および利子率を念頭におこう。さて、「C2がギッフェン財である」とする。すなわち、利子率rが上昇すると、貯蓄は(増える・減る・変わらない)。なぜか、簡単な図を描いて2~4行ほどで説明せよ。

2011年7月22日金曜日

基礎ミクロ30:オークションでのナッシュ均衡

最後の講義。first price sealed bid オークションのナッシュ均衡を解説。7ページ長のレジュメを映して、どのように最大化問題をとらえるのかを、そして、なぜこの計算をしたいのかのストーリーを説明。微分方程式を解いて一般解を求める手段ですが、要するに、「限界便益―限界費用=0」によって特徴付けられる解(オークションでの最適戦略)を、この式から"あぶりだす"手順。売り手の期待収入も計算して終わりです。

オークション理論は、ゲーム理論の応用が目に見えやすい分野だと思います。
オークション理論に精通していると、こんなすごいことも起きるんだというエピソード「400万円払うから、なにもしないで下さい」を紹介。「勉強が役に立たない」? 中途半端な勉強オタクは、役に立たないでしょう。しかし、勉強によってこそ切り開かれる世界があることを決して軽視しないでほしいです。

続きを読み進めるなら、オークション理論の大学院レベルの定番教科書。
Vijay Krishna. Auction Theory, Second Edition, 2009.


『オークションの人間行動学 最新理論からネットオークション必勝法まで』ケン・スティグリッツ (著), 川越 敏司 (翻訳), 佐々木 俊一郎 (翻訳), 小川 一仁 (翻訳)
こちらは面白いトピックを読みやすくまとめてくれています。それでいて巻末付録のセオリー部分も読み応えがあります。おすすめです。

2011年7月19日火曜日

基礎ミクロ29:ゲームツリー

ゲームツリーの読み取り方について解説しました。これで教科書の内容はほぼ網羅しました。

『社会起業家という仕事 チェンジメーカーII』から、Teach for Americaのコラムと、「名誉の殺人」から人を救うNPOについて。志の高い若者たちの話。

2011年7月16日土曜日

基礎ミクロ28:ゲーム理論入門 囚人のジレンマ

ゲームの要素。ゲームには最適戦略があって、それをプレイしているかぎり、「必ず先攻が勝つ」「必ず先攻が負ける」「必ず引き分けにおわる」のどれかだ、という話を紹介。いちばん、わかりやすいのが、三目並べ(マルバツ)。これは必ず引き分けにおわる。

そのあと、ナッシュ均衡の定義を勉強。やや厳密性を欠くことには目をつぶって、じゃんけんにおけるナッシュ均衡を考えました。そのあと、囚人のジレンマゲーム、無限回繰り返し囚人のジレンマゲームについて計算しました。

ゲーム理論ならば、おすすめの本として、『利己的な遺伝子』を紹介しました。本当に面白い。

2011年7月15日金曜日

基礎ミクロ27:非線形プライシング 演習

50分かけて、自分で解いてもらいました。そのあと、モデルの解釈と、意味合いを説明。なぜ、Lさんに小さいパッケージを買ってもらわないといけないのか。また、Lさんの立場からすれば、そんな小さいパッケージではなく、少し大きめのパッケージでもいいから用意してくれれば、自分の消費者余剰も高まるし、売り手の利益も上がるはずなのに、どうしてそれをやってくれないのか。実は、Hさんのために、さらに大きいサイズのパッケージを用意してあり、それをHさんに高く売りつけたい(買っていただきたい)からです。そのためには、Lさん用のパッケージが、Hさんの目に魅力的(お得)に映ってはいけないのです。

今日、内容を紹介した本はコチラ。原題は、DENIAL。失敗したら会社がつぶれるようなビジネスの現場でさえ、危機に対処するための変革がいかに難しいかを教えてくれる。しかも、革新的な財・サービスを打ち出して企業を大きく成長させた経営者が、新たに生じた危機そのものを「否認」してしまいがちなことを、多くの有名な事例で紹介。電車のなかで読んでいて、駅をとばしてしまったくらい、ストーリーも面白いし、訳文がとてもいいです。おすすめしました。

2011年7月12日火曜日

基礎ミクロ26:非線形プライシング

お金をもっている人の財布からいかにすれば、たくさんのお金を出してもらえるかという問題を、ここでは非線形プライシング(価格差別)の問題だととらえて勉強してみました。

お金をたくさんもっている人をHさん、ふつうの人をLさんとしましょう。Hさん向けの製品と、Lさん向けの製品では、大きさも値段もちがいます。でも、Hさんに高いお金を払ってもらおうとして、あまり欲をかきすぎると、Hさんにそっぽを向かれてしまいます。Hさんは、Lさん向けに用意した製品を買ってしまうのです。Lさんに製品を売ることでそれなりに利益は稼ぎつつも、Hさんにはたくさんお金を払ってもらいたい。このトレードオフをうまく分析したのが、非線形プライシングの技術です。講義では、そのアイディアを紹介し、ラグランジュ乗数法で解ける制約条件付きの最大化問題として問題をとらえなおしました。


ウェブクラスに講義資料をアップロードしました。練習問題があるので、必ず解いてください。

2011年7月8日金曜日

基礎ミクロ25:無差別曲線の傾き、シグナルとしての教育、価格差別。

無差別曲線の傾きの導出を勉強しました。予算制約のもとで、プライステイカーである消費者が効用最大化すると、最適な消費点において、無差別曲線と予算制約線が接するわけだから。無差別曲線の傾きの出し方を知っておくことは重要です。実際、無差別曲線の傾き=予算制約線の傾き という式を解釈しなおせば、「基礎ミクロ22:価格あたりの限界効用 リスク・保険」で勉強したとおり、「予算制約つきの効用最大化問題を解いたときに(max u(x,y))、最適解において、x財の限界効用をx財価格で割ったものと、y財の限界効用をy財価格で割ったものが等しいはずだ」ということになります。

シグナルとしての教育、351~353頁。
非線形プライシングについては、数値例で勉強するために、プリントを配布しました。次回に続きをやるので、もらい損ねた人は、ウェブクラス内の参考資料からダウンロードしてください。

2011年7月5日火曜日

2011年7月1日金曜日

基礎ミクロ23:リスクプレミアム、時間選好

前回の続きで334頁を勉強してから、第14章へ。368頁の図で、利子率が現在消費することと将来消費することの交換比率を決めていることを確認。であれば、利子率の変化には、代替効果と所得効果の2つの側面があるはずです。374頁の図でそれを確認しました。

2011年6月28日火曜日

基礎ミクロ22:価格あたりの限界効用 リスク・保険

予算制約つきの効用最大化問題を解いたときに(max u(x,y))、最適解において、x財の限界効用をx財価格で割ったものと、y財の限界効用をy財価格で割ったものが等しいはずだ。この意味をヒューリスティックに考えました。

つづいて、教科書第14章の332~334ページの図を勉強しました。

2011年6月25日土曜日

基礎ミクロ21:『女工哀歌』

女工哀歌 [DVD]
女工哀歌 [DVD]
『女工哀歌』というドキュメンタリー映画を視聴。メイド・イン・チャイナの安い商品(ここではジーンズ)を作っている工場での日常を、そこで働く少女の視点で描いています。時給7円(!)で、休みなく昼夜延々と働く工員たちの暮らしぶり。お湯も出ない、シャワーなんてない寮の部屋に寝て、となりの工場で早朝から深夜まで働く少女たち。

中国の奥地にいけば、時給7円で1日12時間以上働いてくれる労働力が豊富にある。フリーター問題・ワーキングプア問題、あるいはグローバル経済を考えるときに、見逃せない事実でしょう。邦題は、もちろん『女工哀史』からとったもの。大正14年、日本もまだまだ貧しかった。



この本では、「万人が生きるがためには、彼女[女工]を犠牲にせねばならぬという法は断じてあり得ない。」そして、この解決には搾取する資本家(働かざるもの)も働かねばならぬのであって、「...各人が義務服役をなすのである。ここにおいて...当然"工場国有"が実現するであろう。」としている。うーん、だが残念ながら、これが"寝言"であったのは歴史をみればわかること。一筋縄にはいかない。

2011年6月24日金曜日

基礎ミクロ20:「無差別原則」

『ランチタイムの経済学』第4章に載っている「無差別原則」について話しながら、均衡のイメージをつかみます。一般均衡を勉強したあとだったので、経済モデルに現実性がなくとも、そのエッセンスを無視することはできないことを考えました。この本のトーン、道徳の揚げ足取りのような態度は好きではないのですが、経済学モデルを考えるにあたってはとても良い副読本だと思います。


「経済なき道徳は寝言、道徳なき経済は犯罪」。経済学(者)は前者を強調するきらいがあるが、後者も忘れないでください。

2011年6月21日火曜日

基礎ミクロ19:パレート効率性・厚生経済学の基本定理

エッジワースボックス(2人2財の交換経済)で、パレート効率性・均衡価格・厚生経済学の第1基本定理の意味「市場均衡での配分はパレート効率的だ」を確認しました。そしてメッセージは、2人2財を拡張して考えれば、市場機構・価格機構が、いわゆる「クラウド」のイメージなんだということでしょう。


まず、太郎と花子の間の物々交換の話であったところに、あえて貨幣を導入します。物の値段というのは、その商品と1円玉との交換比率であるわけだけど、実は、2財(りんごとミカン)の値段を比べることで、その2財を仮に物々交換するとすれば、そのときの交換比率がいくつになるのかも間接的に規定しているわけです。物価体系→物々交換比率ということ。じゃ逆に、物々交換比率→物価体系というストーリーも考えられる。そこで、太郎と花子の間の物々交換を、太郎―市場―花子のように考え、各個人は市場と取引しているとみなしてみる。

太郎も花子もプライステイカーだと想定するので、いずれも、市場に提示されたりんご・ミカンの値段をみて、自分の「予算」の範囲内で効用を最大化するようにりんご・ミカンを需要します。ここで注意したいのは、市場が提示した価格に応じて太郎・花子が需要した量が、供給量(=社会に存在するりんご・ミカンの総量)に必ずしも一致しないということ。(需要量と総量が一致している図をいきなり描いている教科書も少なくないけど、あれはミスリーディングだと思います)。問題はなにかといえば、りんごorミカンが足りないこと。そして、足りないというのは、需要が多すぎるということ。(ややこしい話はおいておけば)、需要が多すぎるというのは、それが安すぎるからだろう。価格比が別のものならば、需要と供給は一致するかもしれない。

そこで、均衡価格の定義に戻れば、需要の合計と、供給量(=社会に存在するりんご・ミカンの総量)が一致するような価格比があるはず。うまく図を描くことができればOK。「市場均衡での配分は、パレート効率的だ」という厚生経済学の第1基本定理(のエッセンス)も確認できます。


余談:文章の書き方を中等教育でも大学でもろくに教えてくれない。大学受験の問題設定がそれを前提としていないからでしょう。たとえば、パラグラフにはトピックセンテンスを1文いれることを習ったことがあるというのは、本当に数人だけでした。ということで、木下是雄『理科系の作文技術』中公新書を紹介しました。秀逸。

2011年6月17日金曜日

基礎ミクロ18:エッジワースボックス

第8章のボックスダイアグラムの書き方・読み方。そして、契約曲線、パレート最適といった概念を勉強しました。

2011年6月14日火曜日

基礎ミクロ17:所得効果・代替効果、労働供給

第6章残りと、第7章を勉強しました。労働の供給曲線を描くと、それが必ずしも右上りにならない背景について、十分に理解していただければ第6章はOKです。第7章では生産技術に関しても、無差別曲線と同じようなものを描くことができ、費用最小化問題を考えることができることを勉強しました。

さらに、ある一定量の財を生産する場合、もし社会全体での資源・費用を最小化するならば、各生産者の限界費用が等しくなっているはずだということを見ました。一方、市場では、各生産者が利潤最大化する結果、価格=限界費用となる水準まで生産するはずです。すると、市場で各生産者が利己的に行動しても、実は、フタを開けてみれば、社会全体での総費用が最小化されているのだということにもなります。

2011年6月10日金曜日

基礎ミクロ15:価格変化と消費行動

ラグランジュの未定乗数法を復習してから、教科書第6章の第1節を勉強しました。
半径Rで、高さhの円柱形の缶詰を考えて、以下2つの別のアプローチをとる。1.表面積(=缶をつくるのに必要な金属の量)に上限があって、その制限内で容積を最大化するように缶のサイズを設計するという問題、2.最低限Vだけは容量を確保するという制限があり、その缶に使用する金属の量を最小化する問題。

教科書では、予算制約を動かしながら、無差別曲線との接点がどのように動くのかを考えました。

2011年6月7日火曜日

基礎ミクロ14:予算制約下での効用最大化問題

x教科書にはないところを勉強しました。次のような、2財モデルでの効用最大化問題を考えてみましょう。

 .

予算Mの範囲内で、x財とy財を購入し、そこから得られる効用を最大化するという問題です。3つのアプローチで解きました。ちなみに、高校数学の範囲で十分解けるはずの問題です。

1つ目は、予算を使い切ることを前提に予算制約式から を求め、それを効用関数に代入する方法。あとは、それをxについて微分したものが、最適なにおいて、ゼロとなるはずだから、その等式よりが求まります。も予算制約から求めます。

2つ目は、前回の講義で勉強したように、効用を最大化する最適な消費点 において、無差別曲線と予算制約線が接する性質を使います。無差別曲線は なので、そのx-y平面における傾きは 。一方、予算制約線の傾きは、 。これらを等号でつなげばいいのです。

3つ目は、ラグランジュの未定乗数法と呼ばれるときかたです。こちらが本題でした。解法と、ラグランジュ乗数の解釈について、実際に計算して確かめました。

詳しくは、以下の148頁あたりをご参照ください。品切れなので、148頁~149頁だけを受講生のみなさんに配布する予定です。書籍化されるかもしれませんので、そのときぜひ購入しましょう。

経済学で出る数学 高校数学からきちんと攻める 2008年 10月号 [雑誌]
B001HWCR2Y

2011年6月3日金曜日

基礎ミクロ13:無差別曲線と予算制約

教科書Part2の一般均衡分析にうつり、今日は第5章を終えました。無差別曲線と予算制約下での効用最大化を勉強しました。「無差別曲線の性質」として、交差しない、右下がりだ、原点に対して凸だとか書いてありますが、それらはあくまで仮定にすぎません。実際の無差別曲線が必ずしもこうした「性質」を満たしているとは限らないので、性質という言葉遣いはミスリーディング。あくまで「(この)教科書で扱う無差別曲線の特徴」という意味にすぎない。経済学というアプローチのなかでとられる一般的想定にすぎません。

演習問題2を各自やっておいてください。

以下の本を紹介しました。学生時代を有意義に過ごすためのヒント。大学生活本はあまたあるが、たいていは読みにくい。この本は大変読みやすく、インタビュー実例もたくさんあり、良書です。

就活難民にならないための大学生活30のルール
常見 陽平
4072718009

2011年5月31日火曜日

基礎ミクロ12:費用逓減産業 公共財

教科書第11章の306~316頁。市場の失敗について、費用逓減産業の解説。市場が失敗しているというのは、要するに(市場にまかせていては)余剰が最大化されないということ。費用逓減産業では、赤字は出ていても、社会全体の余剰を考えると供給したほうがいいという状況になることを図解。その根拠について考えました。あえて価格付けをするなら、やはり限界費用に応じて価格を決めることが、余剰の最大化の観点から正当化される。

市場の失敗について、公共財のケース。教科書の説明はすこし足りないので、非排除性だけでなく、非競合性も紹介。