18章の Social Preferences in Primates (霊長類の社会的選好)でとりあげられた実験を参照。利他的行動は、kin selection(血縁淘汰)やContingent Reciprocity によって保持される。さて、ヒトの社会的選好は他の霊長類にも同種のものがみられるのか。あるいは、ヒト固有の文化的なものなのか。前者であれば、ヒトの社会的選好(利他主義など)の起源を探るという意味で霊長類の社会的選好を分析する意味は大きい。そうでなければ、人間固有の社会的選好が、他の霊長類の選好と比較することで分かってくる。
チンパンジーに最後通牒ゲームをプレイさせたり、いろいろやってみるものの、どうもチンパンジーにかぎっていえば、あまり envy (妬み)とか、inequality aversion (平等性志向)みたいなものはないらしい。
神経経済学的な実験はまったくでてこないけれども、興味関心の方向性に共通点があるようだ。神経経済学が経済的選好の源泉を脳内に見出そうとするのであれば、社会的選好の源泉・起源を進化過程に見出そうとするのも同じだ。そういう意味で、神経経済学の本に、霊長類を観察する実験が紹介されているのでしょう。
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