2010年5月31日月曜日

2010年5月27日木曜日

基礎ミクロ12:市場の失敗、費用逓減産業

独占の練習問題をやってみる。マークアップが需要の価格弾力性-1の逆数になっていることも確認しました。

つぎに、費用逓減産業も市場ではうまくいかないということを勉強。固定費用がかかりすぎて、平均費用が費用を限界上回ってしまうケースを考え、さらに、需要曲線が平均費用曲線の下側にある場合を想定してみる。このときは、いつも採算割れとなる。つまり、消費者(需要者)が支払ってくれるお金では、費用をまかなうことができない。では、この産業は採算割れだから、縮小・撤退したほうがいいのだろうか。というと、実は、そうともいえない。この産業で消費財が供給されることで得られる便益が総費用を上回っていれば、仮に産業として採算割れになっても、差し引きでは社会余剰を増加させているのだ。その採算割れ部分(赤字部分)を補填するのが、政府に期待される役割である。教科書第11章2節、306~313頁部分。

2010年5月24日月曜日

基礎ミクロ11:市場の失敗、外部性、公共財

教科書第11章「市場の失敗」。負の外部性のアイディアを図11-2(298頁)で確認。ピグー税で調整できることを考えました。正の外部性についても、同じように市場が"失敗"してしまうことも示す。つづいて、公共財313-317頁も勉強。競合性、排除性を定義して、どちらも満たさないものが純粋公共財だということを話しました。

2010年5月20日木曜日

基礎ミクロ10:独占的競争、買い手独占

教科書第9章「独占的競争」と買い手独占について解説。
レポート2「経済学
部)を選んだ理由やきっかけ、入学してからの経済学。卒業後に、経済学は活かせるのか、そうでないのか。」について書いてもらいました。しっかり自分で考えることのできているレポートをいくつか紹介しました。

2010年5月17日月曜日

基礎ミクロ9:独占

教科書第9章「独占の理論」234~237頁、243~245頁。独占的供給者の利潤最大化行動のアイディアを理解。

2010年5月13日木曜日

基礎ミクロ8:『女工哀歌』と余剰分析練習問題

女工哀歌 [DVD]
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『女工哀歌』というドキュメンタリー映画を視聴。メイド・イン・チャイナの安い商品(ここではジーンズ)を作っている工場での日常を、そこで働く少女の視点で描いています。時給7円(!)で、休みなく昼夜延々と働く工員たちの暮らしぶり。お湯も出ない、シャワーなんてない寮の部屋に寝て、となりの工場で早朝から深夜まで働く少女たちと、裕福な暮らしぶりのわれわれを比較して、なにかを感じて欲しい。

中国の奥地にいけば、時給7円で1日12時間以上働いてくれる労働力が豊富にある。フリーター問題・ワーキングプア問題、あるいはグローバル経済を考えるときに、見逃せない事実でしょう。

去年の期末試験の一部抜粋を配布して、練習問題として考えてみました。

2010年5月10日月曜日

基礎ミクロ7:余剰分析+長期・短期の均衡

教科書99~102頁の間接税の余剰分析(図4-6)。Dead weight loss という言葉も勉強しました。講義後半は、長期・短期の概念を勉強するため、いったん第3章72~76頁で短期費用曲線・長期費用曲線(図3-7)を読みました。そのあと、第4章IV節「企業の参入・退出行動と資源配分:完全競争市場の長期均衡」112~119頁を勉強しました。

2010年5月6日木曜日

基礎ミクロ6:実験経済学と神経経済学

実験経済学と神経経済学について研究内容の紹介をしました。GW中だったので、教科書の内容はやらず、成績評価の対象外の番外編。最後通牒ゲームに関する研究内容を紹介しました。下の図は、提案者が手元にある1000円のうち、どれだけ(何円)を受け手に分配しようと提案したかを表しています(紫と青のちがいは後述)。学生46人が提案者だったときに、500円:500円の均等配分を提案したのはわずか9人でした。300円台が16人と最も多く、平均も340円でした。

さて、受け手も受け手で、1円のオファーでもOKだという人はほとんどいません。実際、最低許容額の平均値は、227円でした。その受け手と提案者をランダムに組み合わせてシミュレーションをしてみると、それぞれ提案がどれだけの確率(頻度)で受け入れられ、どのぐらいが拒否されるかがわかります。そのシミュレーション結果を表したのが、棒グラフの紫の部分と青の部分。たとえば、300円台を提案した16人は、平均すると12人が受け入れられ、4人が拒否されるということです。

さて、提案額が0円(ないしは1円)とならない理由として2つのことが考えられます:リスク回避(1円オファーを拒否する非合理的な受け手の存在がリスク)と、不平等回避(不公平な提案はしたくない)。リスク回避については、独裁者ゲームを考えることで排除し、残った不平等回避については、other-regardingで利他的な選好によって説明できるかもしれないと。

議論をすこしずらして不平等回避と非帰結主義の考え方・実験結果も紹介しました。非帰結主義とは、結果(提案額や最終的な利益)だけでなく、そのプロセスも大事にするということです。最後通牒ゲームでいえば、800円:200円という不公平な提案を受け入れるか拒否するかと、受け手が考えるときに、提案者が他にも選べたはずの選択肢が気になってくるというもの。たとえば、提案者には二つの選択肢があって、実は500円:500円も選べたくせに8対2を選んできたという場合と、同様に選択肢はふたつあって、1000円:0円を選ばずに8対2を選んできたという場合を比較。受け手は、後者の場合では、8対2を拒否しませんが、前者の場合では半分ぐらいの頻度で8対2を拒否します。結果だけじゃなく(もちろん定義にもよりますが)、過程を重視するよね、という示唆。

後半の神経経済学のパートは、早稲田大学での実験経済学4(執筆中)をご参照ください。