2009年12月28日月曜日

公共経済学22:最適労働所得税(終)

ハミルトニアンを微分して得られた1階条件から、結果を読み取る作業をしました。そのあと、ローレンツ曲線やジニ係数の導入。

2009年12月24日木曜日

公共経済学21:最適労働所得税

ハミルトニアンを定義して、さきに結果部分だけ解説。能力分布の下限・上限では限界税率がゼロになるという結果。PA問題を解いているときによく出てくる結果と同じものだったはず。

2009年12月22日火曜日

実験経済学第27回:レントシーキング・コンフリクトやラーニング

レントシーキング・コンフリクトやラーニングのモデルと実験を勉強。宿題をだしました、詳しくは Course N@vi で告知します。

2009年12月21日月曜日

2009年12月16日水曜日

公共経済学19:最適労働所得税

まずは incentive constraint を個人のタイプ(賃金)の関数で表現するところまで勉強しました。

2009年12月15日火曜日

実験経済学第26回:投票の経済実験

今回は、神経経済学からは離れて、投票の経済実験について解説。中位投票者定理を説明したあと、それを示す実験を紹介。さらに、「なぜわざわざ投票するのか」ということについて、有権者の人数や、候補者間の当選確率などをコントロールして確認。

2009年12月14日月曜日

公共経済学18:均等絶対犠牲説。最適労働所得税

均等絶対犠牲説のアイディアと、その実証を勉強。最適労働所得税(with asymmetric information)のモデル勉強を開始。

2009年12月9日水曜日

2009年12月8日火曜日

実験経済学第25回:寄附・慈善行為の神経経済学

前回・前々回と社会的選好について勉強したので、その応用のひとつとして寄附行為を考えてみます。参考図書の20章に該当する部分。

利己的な経済人でさえ、利他的にみえる慈善行為を行う場合がある。それは、相手からの見返りが期待できる場合や、慈善行為が自己満足を与える場合(もちろん、なんで自己"満足"するのかという話にはなるが、単に偽善的な自己顕示欲もありうる)。このちがいは、選択の結果や行動をみていただけではわからない。だからこそ、脳イメージングの出番なのだということ。

ただし、まだ研究はすすんでいないそうで、実験研究自体がおもしろい論文はいくつか紹介されているものの、これらモデル選択に役立つ研究は少ないようです。

2009年12月7日月曜日

2009年12月2日水曜日

公共経済学15:公共財としての所得再分配、クラブ財

公共財としての所得再分配のアイディアを解説する簡単なモデルを勉強。さらに、クラブ財というアイディアも説明しました。

2009年12月1日火曜日

実験経済学第24回:霊長類の社会的選好

18章の Social Preferences in Primates (霊長類の社会的選好)でとりあげられた実験を参照。利他的行動は、kin selection(血縁淘汰)やContingent Reciprocity によって保持される。さて、ヒトの社会的選好は他の霊長類にも同種のものがみられるのか。あるいは、ヒト固有の文化的なものなのか。前者であれば、ヒトの社会的選好(利他主義など)の起源を探るという意味で霊長類の社会的選好を分析する意味は大きい。そうでなければ、人間固有の社会的選好が、他の霊長類の選好と比較することで分かってくる。
 チンパンジーに最後通牒ゲームをプレイさせたり、いろいろやってみるものの、どうもチンパンジーにかぎっていえば、あまり envy (妬み)とか、inequality aversion (平等性志向)みたいなものはないらしい。
 神経経済学的な実験はまったくでてこないけれども、興味関心の方向性に共通点があるようだ。神経経済学が経済的選好の源泉を脳内に見出そうとするのであれば、社会的選好の源泉・起源を進化過程に見出そうとするのも同じだ。そういう意味で、神経経済学の本に、霊長類を観察する実験が紹介されているのでしょう。

2009年11月30日月曜日

公共経済学14:Grovesメカニズム

Grovesメカニズムを勉強。メカニズムデザインの観点から解釈。公共財から得られる限界効用の値(private information)を、ただ単に表明してもらうというのではなく、それが直接メカニズムになっていることに注意。

2009年11月25日水曜日

2009年11月24日火曜日

実験経済学第23回:神経経済学 社会的選好

Fehr先生の書いた15章「Social Preference and the Brain」を勉強。社会的な意味づけでの「報酬」に対する反応でも、私的な報酬に対する反応でも、脳で賦活する部位はほぼ共通であるとのこと。あとは、オキシトシン(Oxytocin)というホルモンを吸入すると、その影響で信頼行動が増進ことを示した研究についても勉強。オキシトシン吸入によって risk aversion が変化するわけではないので、 betrayal aversion (裏切られたくない気持ち)が減るのだろう。オキシトシン吸入によって、amygdalaの活動が抑えられる(間接的にそういう影響がある)ことも別の論文で示されている。

2009年11月18日水曜日

2009年11月17日火曜日

実験経済学第22回:神経経済学 amygdalaとambiguity

ambiguity aversion とHsu et al.(2005, Science)を紹介。Amygdala(扁桃体)とリスク許容度の関係についての私の研究結果スライドを見ていただきました。

2009年11月16日月曜日

公共経済学11:中間テスト midterm

担当教員の私が米国アリゾナ州の学会(ESA)に出席しているので、今日は中間テストをしました。

2009年11月11日水曜日

公共経済学10:リンダール均衡

純粋公共財とリンダールメカニズムについて。サミュエルソン条件とリンダールメカニズムを説明しました。

2009年11月9日月曜日

2009年11月4日水曜日

2009年10月28日水曜日

公共経済学7:ピグー税か量的規制か

高速料金をピグー流に求めてみました。外部性がどこに効いているのか見極めが大事。コースの定理の宿題についてもすこし話してみました。そのあと、費用と便益に不確実性があるとき、事前に量的規制水準を定めるのか、ピグー税である程度のフレキシビリティをもたせたほうがいいのか。これを考えるモデルの説明をはじめました。

2009年10月27日火曜日

実験経済学第20回:神経経済学 報酬と選択と意思決定

Neuroeconomicsの第28章“The computation and comparison of value in goal-directed choice”を勉強しました。複数の選択肢から1つを選ぶという意思決定問題をどのように脳は解いているのか、についての研究論文を紹介しました。その解き方のモデルとして、random-walk model が提唱されている。たとえば、Random Dot Motion task をやっているサルの脳のある部位(LIP)に、random-walk modelをサポートするような動きがみられるなど、神経科学による基礎付けがそれなりになされているようです。おもしろい。

2009年10月26日月曜日

公共経済学6:排出権取引のモデル

排出権取引のモデルをゆっくり解説。宿題は2つ。1)モデルのアイディアを図示・図解すること。2)次の論文を読み、理解すること。そして117ページまでに出てくる図について説明すること。
Plott, C., 1983, "Externalities and corrective policies in experimental markets," Economic Journal, 93, pp.106-127.
提出は来週の水曜日4日です。

2009年10月21日水曜日

公共経済学5:外部性の練習問題

外部性について、練習問題で考えてみました。コースの定理についての宿題もあります。

2009年10月20日火曜日

実験経済学第19回:神経経済学初期の論文3本

神経経済学初期のころの論文をレビュー。レファレンスポイントによって、脳で感じる報酬レベルがちがうこと。右前頭前野の働きをTMSという機器をつかって抑制してしまうと、最後通牒ゲームで不公平な提案がなされても、それを受け入れてしまうこと。についての研究でした。
 行動経済学をやっているときにはリーズナブルな行動モデルという「アイディア」でしかなかったものに対して、神経科学がそれなりの基礎付けをしたという意味で画期的な業績だそうです。

2009年10月14日水曜日

2009年10月13日火曜日

実験経済学第18回:神経経済学 イントロ

第1章「イントロダクション 神経経済学(ニューロエコノミクス)の歴史」が今日の内容。経済学は、20世紀前半に"精緻化"され、モデル化されていった。その際、消費者の意思決定過程への分析よりも、消費者の選択結果(行動)に分析の重点を移していった経緯が紹介される。行動経済学(意思決定理論)の研究者はそれに対して、意思決定プロセスを重視して、そこから新しく経済学モデルを作りなおそうとしていく。当然、意思決定プロセスを観測すべきだという動きになり、それが神経科学へのアプローチとなる。

そうした動きと並行して、認知科学・神経科学の側から経済学へのアプローチもはじまったそうです。意思決定と脳活動をリンクさせた研究がはじまるものの、意思決定プロセス→選択 という流れを説明するモデルはたくさんあった。そのモデル選択として経済学的アプローチが有効だったとのこと。経済学、神経科学の双方からの歩み寄りが神経経済学誕生につながったと結んでいます。

2009年10月7日水曜日

公共経済学2:厚生経済学の基本定理→外部性

パレート最適、エッジワークボックス、厚生経済学の基本定理を復習。外部性の解決について、ピグー税などについて言及しました。スライドはwebクラスからダウンロードできるはずです。

2009年10月6日火曜日

実験経済学第17回:神経経済学の本

Neuroeconomics: Decision Making and the Brain
Neuroeconomics: Decision Making and the Brain
第13章"Behavioral Game Theory and the Neural Basis of Strategic Choice"の内容。Colinが書いた章だ。
 前半はGameの紹介、後半は Theory of Mindを扱った神経経済学的な実験結果の紹介になっている。Theory of Mindとは、他人の意図・判断・感情を推測したりおもんばかる機能のようです。ゲーム的状況では、これが極めて重要になってくる。ナッシュ均衡なんて、まさにTheory of Mind があるからこそ、均衡として定義できるわけだし。
 主に5つくらいペーパーの紹介ができたと思う。

2009年10月5日月曜日

公共経済学1:初回ガイダンス

初回ガイダンス。夏学期の基礎ミクロ経済学の期末試験を解いてみました。motivation 高い学生さんが多いので、楽しみです。

2009年9月29日火曜日

実験経済学第16回:試験の復習

来週からNeuroeconomics(神経経済学)を中心に講義をしていきたいと思います。教科書として、2008年に出版されたばかりの本を使います。
Neuroeconomics: Decision Making and the Brain
Neuroeconomics: Decision Making and the Brain

2009年7月29日水曜日

基礎ミクロ:期末試験お疲れさまでした

持ち込み可の期末試験をしました。お疲れ様でした、みなさんよい夏休みを過ごしてください!

2009年7月23日木曜日

基礎ミクロ:『誰が電気自動車を殺したか?』を視聴

昨日に引き続き『誰が電気自動車を殺したか?』を視聴。教科書で描かれる「市場」とか「マーケット」や消費者理論をもうすこし現実的にとらえるのにいい教材だと思います。

この映画では、1996年にGMが電気自動車を売り出したものの、さまざまな利害にもまれ、GM自身が電気自動車を抹殺してしまった経緯が描かれています。とても面白い映画です。結局、SUVなどの大型車で稼ぐことにしたGMは2009年に経営破綻。いまは自動車メーカー各社がこぞってハイブリッド車や電気自動車を開発しているというのはなんとも皮肉。
 映画自体もアメリカ的に前向きでいいと思います。夢を語ることを恥ずかしがるな!

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2009年7月15日水曜日

基礎ミクロ:『おいしいコーヒーの真実』

『おいしいコーヒーの真実』(原題:BLACK GOLD)を視聴。コーヒー1杯300円だとしたら、コーヒー生産者にはそのうちのせいぜい3~10円しか渡らず、彼らは貧困から抜け出せない。なんとかならないかと奮闘する男のお話です。
 なにが「市場の失敗」で、なにが「市場の残酷さ」なのかよく考えてほしいものです。『ランチタイムの経済学』の第4章にあるような話はどこまで本当なのか、見極めましょう。

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2009年7月14日火曜日

実験経済学第14回:レポート発表

レポート発表(実験計画案など)を希望者5人にしてもらいました。先週は「こんな実験をしてみたい」をテーマにレポートを出してもらいまして、みなさんが書いたアイディアがとても深く面白いのでとても感動しました。来週はいよいよ最終週なので、期末試験です。

2009年7月13日月曜日

基礎ミクロ:第10章 ゲームツリー(ゲームの樹)

IV節 「参入阻止行動:空脅しとコミットメント」277~282頁でゲームツリーの読み方・解き方を解説。共有知識のアイディアも二人組みのスパイを例に話してみました。その後、経済問題をテーマとした映画鑑賞を開始。あさってに続きます。

2009年7月8日水曜日

基礎ミクロ:第10章 ゲーム論・囚人のジレンマ

教科書第10章「ゲームの理論」をはじめました。262頁の図10-1(囚人のジレンマ)を解説。応用として図10-2の例もあることをみました。そして、II節の「協調のメカニズム」を説明。繰り返し囚人のジレンマゲームにおける利得の流列の割引現在価値をもとめ、トリガー戦略がナッシュ均衡になりうることを確認。教科書の利得表の数字をつかうと、割引因子デルタが3/8以上になれば、トリガー戦略・トリガー戦略がNEになり、協力・協力が継続的に観察されることを示しました。

2009年7月7日火曜日

実験経済学第13回:レポート返却とBDM法について

6月にだしていただいたレポート(経済学モデルに感じた違和感について)の返却と、それに対するコメント・返答を話しました。そして最後に、BDM法について説明しました。BDM法はとてもテストに出しやすい・出やすいトピックですね。 以前にお伝えしたように、テストは原則的に、なんでも持ち込み可です。また、来週にはレポートや宿題をまとめて返却します。

2009年7月6日月曜日

基礎ミクロ:レモンの市場・割引現在価値

「レモンの市場(中古車の例)」教科書の345~346頁を解説。つぎに14章「異時点間の資源配分」のIII節「投資行動」とIV節「割引現在価値」を解説しました。

2009年7月1日水曜日

基礎ミクロ:オークション

ダッチオークションのスライドを見せ、Second price sealed bid auction も紹介。収入同値定理のアイディアも説明しました。実験では、1st price か 2nd price か、どちらがいいのかという点について、確定的なことは示されていないことを紹介して、おわりです。

2009年6月30日火曜日

実験経済学第12回:男女のちがい

Gender Differences 経済的意思決定における男女差についての論文をいくつかレビュー。その前に、gender という概念が使われるようになった背景について話しました。ボストンマラソンでいつ、どういった経緯で女性ランナーの登録が「認められる」ようになったのかを例に、女性差別と闘ってきた流れを説明。

これまでの多数の実験結果をまとめると、一般的な傾向として、女性のほうが男性にくらべて、1.リスク回避的で、2.社会的選好が状況・コンテキストに依存し、3.競争を避けるという結果が得られているようです(Croson and Gneezy 2009 JEL)。あくまで一般的な傾向ですけどね。

2009年6月29日月曜日

基礎ミクロ:第10章オークション

オークションをゲーム論で分析してみます。そのアイディアは教科書の第10章(282~284頁)にある通りです。もうちょっと詳しいモデルで議論をすすめたいので、ナッシュ均衡の考え方を紹介して、その上で first price sealed bid auction のナッシュ均衡をもとめました。ただし value の分布は[0,1]での一様分布と仮定します。

2009年6月24日水曜日

基礎ミクロ:オークション

月曜日に学んだモデルの復習からはじめて、モデルの説明を終えたら、1時間も経ってしまいました。質問をいろいろしてもらったので、まあいいのかなと思います。今日はオークションの話をはじめるつもりだったので、最後の15分で導入だけ大慌てでカバーしました。

2009年6月23日火曜日

実験経済学第11回:オークションの均衡戦略

オークションの均衡戦略を求めたあと、Dutch Auction を実際に行っているオランダのアールスメール花市場や Cox, Smith, and Walker (1985) の実験なども紹介しました。来週までの宿題があるので、スライドをコースナビからDLして参照してください。

2009年6月22日月曜日

基礎ミクロ:非線形プライシング・価格差別

非線形プライシングと価格差別について、モデルで説明しました。なぜ、LサイズのアイスコーヒーはSサイズに比べて割安な(1mlあたりの価格が低い)のか? これをうまく説明できるモデルになっています。

2009年6月17日水曜日

基礎ミクロ:保険・リスクプレミアム・シグナリング

教科書334頁の図12-4の説明を終え、351頁の「シグナルとしての教育」を勉強しました。

2009年6月16日火曜日

実験経済学第10回:オークション・勝者の呪い

オークションについて話し始めました。まずは、common value auction の実験(コインの瓶詰をオークションにかける)をやってみます。コインの数の読みにはそんなにばらつきが出なかったので、勝者の呪いそんなに強く出ませんでした。スライドはいつもどおりCourse N@vi にあります。

2009年6月15日月曜日

基礎ミクロ:エッジワースボックスと競争均衡

エッジワースボックスのなかで、競争均衡を図解しました。厚生経済学の第1基本定理のエッセンスに触れました。

2009年6月10日水曜日

基礎ミクロ:第8章 パレート最適

第8章前半で、交換経済をエッジワースのボックスダイアグラムで表現。そのあと、価格機構(市場)を介した交換を考え、競争均衡も定義しました。これは教科書には載っていないので、ノートでよく復習しておいてほしいところ。キーワードは、契約曲線・パレート改善・パレート最適・効率性。

2009年6月9日火曜日

実験経済学第9回:時間選好・現在バイアス・未来バイアス

現在バイアスならぬ未来バイアスを観測した私の実験について話しました。時間割引関数が逆S字型になっているということです。

2009年6月8日月曜日

基礎ミクロ:第6章 労働供給

第6章の労働供給の理論(166~174頁)をみて、第14章の「家計の貯蓄行動」(367~376頁)を説明。そのあと、第8章のエッジワースのボックス・ダイアグラム(213頁)をゆっくり説明しました。

2009年6月3日水曜日

基礎ミクロ:第6章 所得消費曲線・代替効果・所得効果

第6章の半分ほどをカバーしました(教科書148~164頁)。
キーワードは、所得消費曲線、正常財・下級財・奢侈品、代替効果・所得効果、ギッフェン財、補完財・代替財。

2009年6月2日火曜日

実験経済学第8回:時間選好・現在バイアス

時間選好について話しました。標準的な指数割引の数値例で、時間整合性の意味を確認。
そのあと、アノマリーとして「現在バイアス(present bias)」、つまり時間選好における選好の逆転現象をみてもらいました。現在バイアスを説明するアイディアとして、双曲割引や準双曲割引を紹介。実際に数値例で解いてみて、現在バイアスとなることを確認しました。スライドはCourse N@vi でダウンロードできます。

2009年6月1日月曜日

基礎ミクロ:第5章 予算制約線

予算制約のもとで効用を最大化することを考えました。ひとつめの考え方:まず、Xの消費量を決めればYの消費量も自動的に決まる(予算を使い切るから)ので、Xの量だけを考えればよい。効用を最大化するなら、効用関数のXについての1次微分がゼロとなるはず。ふたつめの考え方:無差別曲線と予算制約線をともにX-Y平面に描く。効用を最大化する点Eでは、無差別曲線と予算制約線は接していて、傾きは等しいはず。ふたつの傾きが等しくなるようなXを求めれば、点Eが求まる。

ふたつめの考え方から、最適なところでは、(限界効用÷価格)が一定となるはずだということがわかります。その意味も解説。第5章はおわりです。

レポート課題(6月16日締切と6月23日締切)があります。WebClassからダウンロードしてください。

2009年5月27日水曜日

基礎ミクロ:第5章 無差別曲線

第11章の公共財について説明(非排除性・非競合性についても触れる)しました。その後、教科書の第2部「一般均衡分析」に移りました。今回は第5章「消費者行動の理論」で、まず無差別曲線について説明(126~137頁)。さらに、無差別曲線の傾きを効用関数から導出してみました。

ちなみに、横軸C1はカレーライスのごはん、縦軸C2はカレーライスのカレーソースとして、無差別曲線を考えてみました。りんごやみかんよりは絶対わかりやすいはず!

2009年5月26日火曜日

実験経済学第7回:リスク評価・プロスペクト理論

リスク評価におけるアノマリー(アレの反例など)・プロスペクト理論・Marschak-Machinaの三角形について話しました。
 再来週までの宿題:Marschak-Machina三角形を使って、common ratio effect(共通比率効果)のアノマリーを図示してください。くわしくは、スライドをCourse N@vi からダウンロードして読んでください。

2009年5月25日月曜日

基礎ミクロ:第11章 費用逓減産業

外部効果の例(教科書300~302頁)と、費用逓減産業(教科書306~313頁)をやりました。図11-3の右側の図に限界費用MCをちゃんと正確に書き込めるようにしましょう。

2009年5月20日水曜日

基礎ミクロ:外部効果とピグー税

テキスト第11章「市場の失敗」のひとつめ、外部効果について話しました(292~298頁)。図11-2の説明で、正しくは「社会的費用=私的費用+外部効果(公害の費用)」となるところを、すこし違って話してしまいました。ご指摘に感謝です!

2009年5月19日火曜日

実験経済学第6回:公共財の供給実験(つづき)

公共財の自発的供給ゲームの実験をいくつかレビュー。スライドは Course N@vi からダウンロードできます。

6月2日提出のレポート課題:2009年6月2日(火)午前10時50分に提出。A4用紙横書き(できればワープロ打ち)の片面印刷でお願いします。左上をホチキス止めしてください。分量はA4(1枚約1200字)で1~2枚を目安とします。

これまで、標準的な経済学を勉強してきた中で、いろいろなモデルや考え方を学習したと思います。ご存知の通り、多くのモデルやその背景にある経済学的な考え方には、極端なところ(構造や動機の簡略化)があります。

そんななかで、あなた自身が特に強い違和感を覚えたもの(モデルなど)について考えてください。まず、そのモデル・考え方をまず簡単に紹介し、どうしてあなたが違和感を覚えたのかを書いてください。何かが現実(具体例があるといいですね)と違うからなのか、モデルのこんなところがおかしいと思うのか、そのモデル・考え方を批判的に解説してください。
 では、それをどのように改善できそうなのか(これは経済学者の研究領域ではありますが)、すこし展望してみましょう。難しくかまえず、リラックスして考えて楽しんでください。

2009年5月18日月曜日

基礎ミクロ:第9章 独占

買い手独占(p.246)と独占的競争(p.249)の解説をして第9章の内容を終えました。今日は練習問題もやりました、残りは下記の通りの宿題です。
 ランチタイムの経済学第9章と第16章を読んでおいてください。

宿題(来週の月曜の講義開始時に提出してください):
独占企業が直面する需要曲線 D=120-pであり、この企業の総費用関数はTC(x)=x^2である(Xの自乗という読み方をします)。問題(4):この独占市場の均衡における、消費者余剰、生産者余剰を求めよ。総余剰を最大化する社会的に望ましいときとくらべて、余剰はどれだけ減ってしまっているか、求めよ。問題(5):マークアップ率mと、需要の価格弾力性εを求めよ。m=1/(ε-1)となっていることを確認せよ。

2009年5月14日木曜日

「男女共同参画時代のキャリアデザイン」

母校から講演に呼ばれました。如水会(じょすいかい:一橋大学同窓会)の寄付講座で『男女共同参画時代のキャリアデザイン』です。私は「仕事・育児・パートナー選び」という題目でいろいろと話しました。

仕事については、日経就職NAVIのCMにあった「きっと君のカッコイイは変わる。」になんかだまされるな、とメッセージ。
 男女共同参画に関連して、アメリカでの先生が出産直前まで大きなおなかのまま、フツーに私に指導してくれたことなどを話し、日本の状況は明らかにおかしいということを伝えました。

育児については、フツーに分担していること。「家事・育児に"協力的"」とか、「妻のキャリアに"理解"がある」という言葉はおかしいのでキライだとか言ってみました。わかってもらえたかな。

パートナー選びでも、男女ともにテストステロンの影響に惑わされるな(講義中ではもっとダイレクトに言いました。ここはかなり笑いをとれたところ。)

いずれにせよ、自分の価値観をしっかり見つめよ!

2009年5月13日水曜日

基礎ミクロ:第9章「独占」

まず独占禁止法の第1条を読んでみました。それから、教科書の236~240頁を勉強しました。

企業が(それが完全競争のときでも独占のときでも)利潤を最大化する生産量において、限界収入MR=限界費用MCとなることを、数式で確認。その企業がプライステイカー(競争的)ならば、限界収入MR=価格Pなので、MR=P=MC。おなじみのP=MCとなる。一方、企業が独占的ならば、限界収入MR=[P(Q)xQ]' だから、限界収入MR<価格Pとなる。したがって、P>MCとなる。限界費用は価格より小さいので、そこに独占による超過利潤が生じる。

さて、独占が「公共の利益に反」するという場合は、余剰の和が減少しているということであり、その減少分をグラフ上に見出すことができました。

2009年5月12日火曜日

実験経済学第5回:公共財の供給実験

前回のつづき。公平性のとらえ方は、実際のところ、かなり文脈に依存するということを示した実験結果をいくつか紹介しました。たとえば、最後通牒ゲームで、提案者と受け手の役割をランダムにくじで決めるのではなく、雑学クイズの正答率が高い人を提案者役にするというやり方があります。この場合、提案者はより多くの利得をとり、受け手にはあまり利益を分けないという行動が観察されます。

そのあと、公共財の供給実験についての説明をはじめました。

宿題:5月19日(火)午前10時50分提出。
最後通牒ゲームについて。
受け手が提案を拒否する動機について考えよう。以下の3つの実験はどのような動機を読み解くつもりなのか。それぞれの実験での拒否率が異なるものとして、答えよ。
実験0  通常の最後通牒ゲーム。
実験1  受け手は受け取りを拒否できるが、提案者自身への分配は提案者が行ったとおりに支払われる。受け手の選択は提案者に知らされる。
実験2 受け手は受け取りを拒否できるが、提案者自身への分配は提案者が行ったとおりに支払われる。提案者は受け手の行動を全く知ることなくゲームを終える。

2009年5月11日月曜日

基礎ミクロ:第4章終了

余剰分析の応用例(「過少生産の例:間接税」と「自由貿易の利益」99~104頁)をやり、III節はとばして、IV節の前半をすこしだけやりました。その後、第9章に取りかかり始めました。

2009年4月28日火曜日

実験経済学第4回:公平性(最後通牒ゲーム)

公平性についての実験結果(最後通牒ゲーム、独裁者ゲーム)を紹介しました。授業スライドは早稲田大学の Course N@vi からダウンロードしてください。

5月12日午前10時40分提出のレポート課題はこちらからPDFでダウンロードしてください。

2009年4月27日月曜日

基礎ミクロ:第4章 政府介入の話

復習として平均費用が最小になるところで限界費用=平均費用となることを数式で確認しました(第3章補論と同じ内容)。そのあとで、第4章での応用例「過剰生産の例:米価問題(96~99頁)」をゆっくり丁寧に図解しました。ここまでのところはぜひとも100%理解していてほしい。

宿題:テキスト「ランチタイムの経済学」の第8章を読んでください。そして、ブラウン、スミス、ジョーンズが登場する例え話を、図解しながら横書きの文章で説明しなおしてください。「見えざる手」はなにをしているのかを踏まえつつ、結論を書くこと。提出は5月11日(月)午前10時45分です。

2009年4月22日水曜日

基礎ミクロ:第3章「費用の構造と供給行動」

テキスト第3章を勉強しました(除:71頁すかいらーくの例、75頁長期と短期の平均費用と限界費用、84頁の補論)。図3-3のパネル1に、平均・限界・可変・固定費用をそれぞれ図示してみました。

WebclassのPractice1という宿題を期限(29日の水曜日午前1時)までにやっておいてください。

2009年4月21日火曜日

実験経済学第3回:効用の発見

先週、質問のあった効率性・公平性の問題を復習してから、「効用」という概念の発見について話しました。うまい棒実験にも参加していただきました。授業スライドはPDFPPTのどちらでもダウンロードできます。

宿題はありません。5月12日午前10時40分提出のレポート課題はこちらからPDFでダウンロードしてください。

2009年4月20日月曜日

基礎ミクロ:効用・限界効用・需要曲線

教科書第2章52~58ページまでと、47頁の「価格差別の理論」のところまでカバーしました。先週の宿題を回収し、小テストもやりました。次のような新しい宿題も出しました。

辻邦夫『背教者ユリアヌス』(中公文庫)の中巻155~157ページを読み、以下の問いに答えてください。問1 商人ダカマスが「焼き払い」をするのは何故か? (注:「[葡萄酒の]値下がりを防ぐ」ためではあるが、なぜそうなのか、それによってダカマスは何を得るのか、図を使いながら説明せよ。ヒントは教科書の図1-2です)。問2 157頁のユリアヌスの疑問を図を使って表せ(教科書の「価格差別の理論」を読んでから考えてください)。

2009年4月15日水曜日

基礎ミクロ:需要の価格弾力性

テキストの第2章に入り、需要の価格弾力性とその意味を解説しました。効用の解説をするためにサンクトペテルブルクのパラドックスの教室実験を行いました。

2009年4月14日火曜日

実験経済学第2回:市場実験

需要・供給曲線の市場モデルをじっくり復習してから、市場実験について話しました。授業スライドはPDFPPTのどちらでもダウンロードできます。

本当にすばらしい質問・指摘がたくさんでて、有意義なディスカッションができました。どうもありがとうございます! 宿題はありません。

2009年4月13日月曜日

基礎ミクロ:需要・供給曲線のシフト

教科書『ミクロ経済学(伊藤元重著、日本評論社)』の第1章までを終えました。宿題は、34ページの演習問題2で、提出は来週の月曜日20日の講義開始時です。

2009年4月8日水曜日

基礎ミクロ:需要・供給曲線

需要・供給曲線を説明しました。横軸と縦軸の因果関係がいままでの y=f(x) とは逆だということを強調しました。

この講義では、伊藤元重先生の『ミクロ経済学』(日本評論社)を使います。副読本には『ランチタイムの経済学』を指定していますので購入してください。

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2009年4月7日火曜日

実験経済学第1回:数当てゲームにみる合理性

早稲田大学政治経済学部で今年から開講される「実験経済学」を担当いたします。
第1回なので、シラバス(PDF)を配布しました。イントロとして、数当てゲーム(美人投票ゲーム)にみる合理性という題目で講義しました。授業スライドはPDFPPTのどちらでもダウンロードできます。

宿題を出しましたので、授業スライドで確認し、来週の講義開始時に提出してください。

2009年1月31日土曜日

実験経済学:期末試験

2月3日は期末試験でした。本でもノートでも持ち込み可。問題としてたとえば次のようなものに答えてもらいました。「最後通牒ゲーム」については解説しましたが、Roth et al.の実験も、Bでの追加実験についても講義中で話したことはありません。講義で話したことをそのまま繰り返すだけのテストにはあまり意味も面白みもないので..。

問2(5点+7点)最後通牒ゲームについて。
A. Roth他が行ったイスラエル、スロベニア、米国、日本の比較実験がある。提案者が行った平均提示額(受け手への分配提案額)は、スロベニア=米国>日本>イスラエルと並んだ。しかし、実際の拒否率には相違はみられなかった。これらから文化差を読み取るとすれば、どのようなことが言えるか。5行程度で述べよ。

B. 受け手が提案を拒否する動機について考えよう。以下の2つの追加実験はどのような動機を読み解くつもりなのか答えよ。それぞれの実験での拒否率が異なるものとして、10行程度で述べよ。
通常実験  通常の最後通牒ゲーム。
実験1  受け手は受け取りを拒否できるが、提案者自身への分配は提案者が行ったとおりに支払われる。受け手の選択は提案者に知らされる。
実験2 受け手は受け取りを拒否できるが、提案者自身への分配は提案者が行ったとおりに支払われる。提案者は受け手の行動を全く知ることなくゲームを終える。

公共経済学:期末試験

期末試験は自作のノートと配布資料(スライドなど)を持ち込み可としました。いろいろと覚えたりするのは私自身きらいでしたから。試験問題は、モデルのアイディアを記述してもらうものと、モデルの計算をしてもらうもの半分ずつです。計算問題の例として第1問は次のようにしました。このぐらいは簡単すぎますでしょうか...?

問1
X地点からY地点まで行くのに「一般道」と「高速(道)」の2ルートがある。一般道を使うと移動コストはつねに1かかるのに対し、高速を使ったときの移動コストは高速を使った人口αに等しい。したがって、1だけの人口がXからYへ一斉に移動するとき、総移動コストはC=(1-α)×1+(α×α)となる。

a). 各個人が一般道を通るか高速を使うかを自由に選ぶとしよう。このときのナッシュ均衡を考え、αをもとめよ。
b). Cを最小にする最適α*をもとめよ。
c). 各個人の自由意志を尊重しつつCを最小化したい政府が、高速の使用に税金をかけるとする。最適な税額t*をもとめよ。ただし、税はCに含まないものとする。
d). 「外部性」を定義・計算し、最適ピグー税額tを求めよ。t*と比べて論ぜよ。

2009年1月28日水曜日

公共経済学:自然独占の規制

公共経済学は、主に「市場の失敗」について考える経済学の一分野だと思います。その市場の失敗の例として、外部性、公共財についてはカバーしました。もうひとつの代表的な市場の失敗は自然独占のケースでしょう。講義の最終回で、ピークロード料金のモデルを解説しました。これで今学期はおわりです。お疲れ様でした!

2009年1月27日火曜日

実験経済学:BDM法

市場実験のレポートについて解説。実験での取引が余剰を最大化していない結果について考察しました。そのあと、BDM法について解説。賞金Xを確率Pで支払うくじ(X,P)の価値をどうやってBDM法が"あぶりだす"のか説明しました。最後だったので、メッセージとして「夢をもて!」と伝えました。

2009年1月26日月曜日

公共経済学:一般均衡モデルと部分均衡モデルのちがい

税の帰着が、一般均衡分析と部分均衡分析とでは全くことなることを示しました。mobile な労働と、immobileな資本を考えてみましょう(mobilityについては逆の方がしっくりくるかもしれないけど)。部分均衡だとimmobile な資本が税負担を全部かぶるという結論なのに対して、一般均衡だと賃金率の下落を通じて、資本の税負担はトータルではゼロになるという結論です。対照的でおもしろい。

2009年1月21日水曜日

公共経済学:一般均衡モデルでの分析

ひきつづき2×2モデルの解説。税の導入がどのように要素価格を変化させてうるのかを見ました。資本集約的な財への課税がどのように要素価格に反映されていくのか、など。わかりやすいモデルですね。

2009年1月20日火曜日

実験経済学:市場実験

eye-spot についての実験結果を紹介。そのあと、市場実験と教科書モデルと現実の市場とのちがいを考えてみました。

2009年1月19日月曜日

公共経済学:法人税の帰着

一般均衡分析をするための基本的なモデルを解説したほうがよいと思いました。そこで、2×2の生産経済(2要素、2財)モデルを導入しました。1次同次の生産関数をもつ競争的な企業によって各財が生産されていて、財そのものは国際的価格(固定)で取引されているというモデルです。MWGの教科書では15章に登場するものです。

2009年1月14日水曜日

公共経済学:宿題。法人税の一般均衡分析

宿題をだしてもらいました。法人税帰着の一般均衡分析にとりかかりはじめました。