2010年5月17日月曜日

基礎ミクロ9:独占

教科書第9章「独占の理論」234~237頁、243~245頁。独占的供給者の利潤最大化行動のアイディアを理解。

2010年5月13日木曜日

基礎ミクロ8:『女工哀歌』と余剰分析練習問題

女工哀歌 [DVD]
女工哀歌 [DVD]
『女工哀歌』というドキュメンタリー映画を視聴。メイド・イン・チャイナの安い商品(ここではジーンズ)を作っている工場での日常を、そこで働く少女の視点で描いています。時給7円(!)で、休みなく昼夜延々と働く工員たちの暮らしぶり。お湯も出ない、シャワーなんてない寮の部屋に寝て、となりの工場で早朝から深夜まで働く少女たちと、裕福な暮らしぶりのわれわれを比較して、なにかを感じて欲しい。

中国の奥地にいけば、時給7円で1日12時間以上働いてくれる労働力が豊富にある。フリーター問題・ワーキングプア問題、あるいはグローバル経済を考えるときに、見逃せない事実でしょう。

去年の期末試験の一部抜粋を配布して、練習問題として考えてみました。

2010年5月10日月曜日

基礎ミクロ7:余剰分析+長期・短期の均衡

教科書99~102頁の間接税の余剰分析(図4-6)。Dead weight loss という言葉も勉強しました。講義後半は、長期・短期の概念を勉強するため、いったん第3章72~76頁で短期費用曲線・長期費用曲線(図3-7)を読みました。そのあと、第4章IV節「企業の参入・退出行動と資源配分:完全競争市場の長期均衡」112~119頁を勉強しました。

2010年5月6日木曜日

基礎ミクロ6:実験経済学と神経経済学

実験経済学と神経経済学について研究内容の紹介をしました。GW中だったので、教科書の内容はやらず、成績評価の対象外の番外編。最後通牒ゲームに関する研究内容を紹介しました。下の図は、提案者が手元にある1000円のうち、どれだけ(何円)を受け手に分配しようと提案したかを表しています(紫と青のちがいは後述)。学生46人が提案者だったときに、500円:500円の均等配分を提案したのはわずか9人でした。300円台が16人と最も多く、平均も340円でした。

さて、受け手も受け手で、1円のオファーでもOKだという人はほとんどいません。実際、最低許容額の平均値は、227円でした。その受け手と提案者をランダムに組み合わせてシミュレーションをしてみると、それぞれ提案がどれだけの確率(頻度)で受け入れられ、どのぐらいが拒否されるかがわかります。そのシミュレーション結果を表したのが、棒グラフの紫の部分と青の部分。たとえば、300円台を提案した16人は、平均すると12人が受け入れられ、4人が拒否されるということです。

さて、提案額が0円(ないしは1円)とならない理由として2つのことが考えられます:リスク回避(1円オファーを拒否する非合理的な受け手の存在がリスク)と、不平等回避(不公平な提案はしたくない)。リスク回避については、独裁者ゲームを考えることで排除し、残った不平等回避については、other-regardingで利他的な選好によって説明できるかもしれないと。

議論をすこしずらして不平等回避と非帰結主義の考え方・実験結果も紹介しました。非帰結主義とは、結果(提案額や最終的な利益)だけでなく、そのプロセスも大事にするということです。最後通牒ゲームでいえば、800円:200円という不公平な提案を受け入れるか拒否するかと、受け手が考えるときに、提案者が他にも選べたはずの選択肢が気になってくるというもの。たとえば、提案者には二つの選択肢があって、実は500円:500円も選べたくせに8対2を選んできたという場合と、同様に選択肢はふたつあって、1000円:0円を選ばずに8対2を選んできたという場合を比較。受け手は、後者の場合では、8対2を拒否しませんが、前者の場合では半分ぐらいの頻度で8対2を拒否します。結果だけじゃなく(もちろん定義にもよりますが)、過程を重視するよね、という示唆。

後半の神経経済学のパートは、早稲田大学での実験経済学4(執筆中)をご参照ください。

2010年4月26日月曜日

基礎ミクロ5:余剰分析

平均費用が最小になる生産量において、限界費用=平均費用となっていることを式で確認(84ページ)。第4章では、第1節はスキップして、第2節の余剰分析にとりかかりました。今日は、「過剰生産の例:米価問題(96-99ページ)」をゆっくり勉強しました。よかれと思って政府が市場に介入しても、結局、トータルでみればマイナスに終わってしまうというモデルです。政府の市場介入がトータルでプラスになるのは、いわゆる「市場の失敗」がある場合です。それは第9章で勉強する「独占」や、第11章で勉強する「公共財」が存在するときのお話。

2010年4月22日木曜日

基礎ミクロ4:費用関数、供給曲線、生産者余剰

第3章「費用の構造と供給行動」を勉強。前回の続きで66ページの図3-3から、章末86ページまで。ただし、71-76ページにある「すかいらーくの例」とII節「短期費用曲線と長期費用曲線」、そして84ページ補論はスキップしました。ウェブクラスで宿題3と宿題4も出ていますので確認してください。

2010年4月20日火曜日

実験経済学3:サンクトペテルブルクのパラドックスと限界効用逓減の法則

前回までで、数当てゲームにおいて「ある程度予想できる非合理性」を見出したり、市場実験からみる「経済学モデルの妥当性」を勉強しました。今回も引き続き、人間の行動をそれなりにモデルで近似できる(することに意味がある)と勉強しましょう。

「サンクトペテルブルクのパラドックス」をベースとした、うまい棒ゲームを考えます。まず、どのように理論と現実が相容れないのか(パラドックス)を理解し、その上で、理論を再解釈することでそれなりの決着をはかりましょう。「効用」という考え方によって現実の再解釈がうまくできます。そこに経済学モデルの意義、現実をうまく説明・理解できるという役割を見出すことができるのではないでしょうか。

さて、このゲームでは、コイン投げをして、表がでれば、コイン投げを続けることができます。裏がでた時点でゲームは終わりです。ゲームが終了するまでに、何回(連続して)表が出たかによって、何本のうまい棒がもらえるかが決まります。いきなり裏が出てしまった場合(表が0回のとき)は、うまい棒が1本もらえます。表が1回だけで次に裏が出てしまったら、2本もらえます。表2回で3回目に裏が出てしまった場合は、4本だけもらえます。このように、連続して出た表の数が1回増えるごとに、ゲーム終了時点でもらえるうまい棒の本数が2倍に増えていくのです。問題は、このゲームに一体いくら払って参加したいか(参加するのにいくらまでなら払いますか)ということ。実際に、一橋大学の学生さん125人に聞いてみた結果が右のグラフにある通りで、平均54円でした。

さて、ここにパラドックスがあります。実は、理論的には、このゲームの参加費は無限大になってもおかしくないからです。ゲームの参加費を決めるときには、おそらく、「このゲームに参加すれば何本ぐらいのうまい棒が平均してもらえるのだろうか」と考えたことでしょう。ゲームに参加すれば、少なくとも1本のうまい棒はもらえるはず。それよりも多くうまい棒をもらうためには、少なくとも1回は表が出ればいいのだから、確率50%で、2本以上のうまい棒がもらえます。というように考えて、平均何本もらえるかを何となく予想するはずです。計算自体は簡単ですので過程を省きますが、驚くべきことに、平均してもらえるであろう本数は無限大となってしまうのです。だとすれば、ゲームに参加することには無限大の価値がある!? となります。感覚的にも、とてもそれには納得がいきませんし、学生さんが答えた平均54円という数字をどのように解釈すればいいのでしょう。

54円という数字を解釈するひとつの方法が「効用」という概念の導入です。人はうまい棒の本数だけにもとづいて判断するのではなく、そのうまい棒が自分にとってどれだけの価値があるか(それによってどれだけの満足度(効用!)が得られるか)を考えているはず。そこで、うまい棒ゲームでもらえるうまい棒を消費し、その消費から得られる効用の平均値(期待値)を計算するのではないかと思えます。実際に、得られる効用をうまい棒の本数の対数関数 log(x) として、効用の平均値を計算すると、それは無限大にならないことがわかります。なぜ log(x) が便利なのか、ヴェーバー‐フェヒナーの法則や限界効用逓減など、続きは講義を聞いてください。

2010年4月19日月曜日

基礎ミクロ4:需要曲線・限界効用・消費者余剰、費用曲線

教科書52~66ページ。第2章II節の「消費者行動と需要曲線」で限界効用や消費者余剰の考え方を学ぶ。演習問題2で理解を確認しました。つづけて第3章「費用の構造と供給行動」にはいりまして、供給の価格弾力性のアイディアを確認。67ページの費用の定義の説明をしました。木曜日までの練習問題は66ページの図3-3の上パネルに描かれた総費用曲線のグラフに、平均費用・限界費用・可変費用・固定費用を図示しようというものです。

2010年4月15日木曜日

基礎ミクロ3:需要・供給曲線のシフト

テキスト24~51ページ(第1章・第2章終了)。需要曲線と供給曲線のシフト、需要の弾力性を考えました。シラバスの進行予定通り。Webクラスで宿題2を出しました、26日の12時30分までに終えてくださいね。

2010年4月13日火曜日

実験経済学2:市場均衡の実験

前回にひきつづき、実験経済学の入門部分にあたる内容。実験経済学(あるいは行動経済学)は、必ずしもこれまでの標準的な経済学やその思考の枠組みを否定するものではないです、ということを解説しました。一橋大学でやった教室内市場実験の結果を紹介し、需要・供給曲線の交点が均衡だとするモデルが、それなりに現実的であることを示しました。


たまに、"合理的で利己的な人間だけを想定しているミクロ経済学は非現実的でまちがっている、だから心理的要素を考慮・加味した行動経済学が正しいんだ"というようなことを見聞きします。実験経済学をやっていると、たしかに標準的な経済学モデルとは全く異なる結果が観察されます。だからといって、そのモデルが"まちがっている"というわけではありません。そういうわけで、はじめにモデルも意外に正しいじゃんということを解説しようと思いました。

教室内市場実験では、実験を行う人(つまり私)だけが需要曲線・供給曲線の形を知っています。そして、売り手役・買い手役の人たちを多数用意します。売り手・買い手は、自分の利益の最大化のみを利己的に考えており、需要曲線や供給曲線がどういった形になっているのかは知りません。したがって、その2つの曲線が交じわる点(均衡価格)がどこにあるのかも知らない。こんな設定です。それでも、「わいわいがやがや」と多数の買い手・売り手が交渉して相対取引を成立させていると、その取引価格の平均は、モデルが予想する均衡価格に非常に近い値になることが知られています。実際、均衡価格60に対して、平均の取引価格は59.4でした。

ただし、完全競争がないので、ランダムにかつ排他的に1対1の売り手・買い手が価格交渉をはじめるという点に注意。その結果、どうしても、取引数量はモデルの予想よりも多めに出てしまうのです(この確認は自習用練習問題としてとっておきたいです)。それでも、モデルの予想はそれなりに正しいことがわかります。宿題が出ました(27日提出)