2011年12月26日月曜日

公共経済学20: 一般均衡モデルと部分均衡モデル

一般均衡モデルと部分均衡モデルのちがいについて、税の帰着分析を例に勉強しました。

2011年12月22日木曜日

2011年12月12日月曜日

公共経済学17: 最適所得課税

メカニズムデザインとしての最適所得課税を考えました。
政府には個々人の労働所得しか観察できない、しかし、個々人では稼得能力が異なり、その稼得能力と労働時間が政府にはわからないとします。個々人の効用水準は、可処分所得(税引き後所得)と自由時間(労働しなくていい時間)の2要素に依存すると考える。したがって、政府は各個人の労働所得に税金を課しつつも、その個人がどの程度働いているかにも気を配る必要がある。そんな政府がデザインすべき租税関数の特徴について整理。

節税しないことを制約条件においているようで、要するに誘因両立な直接メカニズムをデザインしているのだという背景について、よく理解したい。

2011年12月7日水曜日

公共経済学16: 税の累進性との所得分布2

社会厚生関数について。また、社会厚生関数と税の累進性の関係について勉強。

2011年12月5日月曜日

公共経済学15: 税の累進性との所得分布1

ジニ係数やローレンツ曲線について、また、それと税の累進性の関係について勉強。

2011年11月30日水曜日

2011年11月28日月曜日

公共経済学13: Groves メカニズム

Groves メカニズム。リンダールメカニズムのように個々人の選好が明らかであれば話は簡単。でも、そうはうまくいかないケースで必要になってくるメカニズムデザインの視点を勉強しました。そして、歪みのある税による財源調達しかできない場合(制約下)におけるサミュエルソンルールも勉強しました。

2011年11月24日木曜日

2011年11月21日月曜日

2011年11月16日水曜日

公共経済学11: 小黒一正先生 ご講義2

小黒一正先生に再度、代行でご講義をしていただきました(竹内が育児休業期間中のため)。どうもありがとうございました。震災に強い日本をどう構築するかについて、主に財政の視点からご講義いただけました。どうもありがとうございます。

2011年11月9日水曜日

公共経済学10: 小黒一正先生 ご講義1

小黒一正先生に代行でご講義をしていただきました(竹内が育児休業期間中のため)。日本の財政と世代を巡る問題について、お話いただけました。

小黒先生の『2020年、日本が破綻する日』を、今年度の公共経済学の指定参考図書です。公共経済学を学ぶうえで、厳しい現状を若い学生のみなさんにぜひ知っておいてほしいと思います。本書をご執筆なさった小黒先生に直にお話を聴けるのは大変貴重な機会でした。どうもありがとうございました。

2011年11月7日月曜日

公共経済学09: 青木玲子先生 ご講義

青木玲子先生に代行でご講義いただきました(竹内が育児休業期間中のため)。イノベーションの経済学についてお話していただけました。どうもありがとうございました。

2011年11月2日水曜日

公共経済学08: 井深陽子先生 ご講義2


井深陽子先生に、再度、 代行でご講義していただきました (竹内が育児休業期間中のため)。インフルエンザの予防接種に関する政策、についてお話いただけました。どうもありがとうございました。

2011年10月31日月曜日

公共経済学07: 井深陽子先生 ご講義1


井深陽子先生に代行でご講義いただきました(竹内が育児休業期間中のため)。予防接種に関する個人の意思決定について、お話していただきました。

インフルエンザの流行時期を目前に控え、外部性のある予防接種とその経済的な意思決定について学ぶことができ、学生の皆さんにとって貴重な機会だったと思います。

2011年10月27日木曜日

実験経済学β05: 線条体・効用

教科書25章、Representation of Subjective Value in the Striatumと、29章 Neural Representations of Value。

2011年10月24日月曜日

2011年10月19日水曜日

公共経済学06: フリーター漂流

NHKで放映された『フリーター漂流』。なにをもってして、市場の失敗というのかは、社会問題の現実とは別にして、厳密に考えてみてもよいかと。育児休業開始。

2011年10月17日月曜日

公共経済学05: 公共財

公共財の定義、最適供給水準(サミュエルソン条件)、リンダールメカニズム、その図解。を勉強しました。

2011年10月13日木曜日

2011年10月12日水曜日

2011年10月10日月曜日

公共経済学03: 外部性

外部性・ピグー税について勉強しました。高速道路と一般道のモデルなど。

2011年10月6日木曜日

2011年10月5日水曜日

公共経済学02:市場の失敗

厚生経済学の基本定理のおさらい。市場の失敗、パレート最適、エッジワークボックス、厚生経済学の基本定理を復習。外部性の解決についてもふれました。

2011年10月3日月曜日

公共経済学01:ガイダンス

初回ガイダンス。夏学期の基礎ミクロ経済学の期末試験を解いて、すこし解説。

2011年9月29日木曜日

実験経済学β01: 神経経済学

第1章「Introduction: A Brief History of Neuroeconomics」。
イントロとして、神経経済学の成立の背景と簡単な歴史について解説した章です。
認知神経科学が意思決定モデルに経済学的なアプローチを採用し、一方で、行動経済学が現実的な意思決定モデルに、非経済的(心理学的知見をとりいれた)行動モデルを作っていった。一部の行動経済学者は、意思決定の瞬間に実際に起きているプロセスを観察し、規範的なモデルではなく実証的なモデルを手に入れたいという思いがあり、それが脳機能の観察に結びついていった。

こういうながれで、認知神経科学と行動経済学があわさって、神経経済学が生まれたとのことです。テキストはこちらを使います。

0123741769Neuroeconomics: Decision Making and the Brain
Paul W. Glimcher
Academic Press 2008-10-17
by G-Tools

2011年7月28日木曜日

実験経済学12: オークション

オークションの理論を解説してから、実験結果をすこしだけ紹介。来週は試験です。

2011年7月26日火曜日

基礎ミクロ31:期末試験

期末試験でした。以下、サンプル問題。

問2:プライステイカーである企業の供給量について考えよう。この企業は現在、生産量Xを市場に供給している。Xにおいて、平均費用は最小化されていないが、その平均費用AC(X)は市場価格pよりは小さいので利益は出ている。

a). 利潤と現在の生産量Xについて、上で与えられた情報をもとに、以下の選択肢のなかで最も正しそうなものを選びなさい。
 1). 生産量を増加させることによって、利潤を増やすことができる。
 2). 生産量を減少させることによって、利潤を増やすことができる。
 3). 利潤最大化を達成しているので、生産量を変化させる必要はない。
 4.) この情報だけでは、なんともいえない。
b). 生産量を増やすと平均費用はさらにあがってしまう状況だということが、新たに判明した。図解してください。しかし、部長は「生産量を増やせ」といっている。部長のいうことを信じたものかどうか、どのように判断すべきか。

問5:若年期(今期)の消費をC1、老年期(来期)の消費をC2として、2財モデルを考える。当初の資産がMだけあり、他に収入はない。貯蓄Sが常に正となるような効用関数および利子率を念頭におこう。さて、「C2がギッフェン財である」とする。すなわち、利子率rが上昇すると、貯蓄は(増える・減る・変わらない)。なぜか、簡単な図を描いて2~4行ほどで説明せよ。

2011年7月22日金曜日

基礎ミクロ30:オークションでのナッシュ均衡

最後の講義。first price sealed bid オークションのナッシュ均衡を解説。7ページ長のレジュメを映して、どのように最大化問題をとらえるのかを、そして、なぜこの計算をしたいのかのストーリーを説明。微分方程式を解いて一般解を求める手段ですが、要するに、「限界便益―限界費用=0」によって特徴付けられる解(オークションでの最適戦略)を、この式から"あぶりだす"手順。売り手の期待収入も計算して終わりです。

オークション理論は、ゲーム理論の応用が目に見えやすい分野だと思います。
オークション理論に精通していると、こんなすごいことも起きるんだというエピソード「400万円払うから、なにもしないで下さい」を紹介。「勉強が役に立たない」? 中途半端な勉強オタクは、役に立たないでしょう。しかし、勉強によってこそ切り開かれる世界があることを決して軽視しないでほしいです。

続きを読み進めるなら、オークション理論の大学院レベルの定番教科書。
Vijay Krishna. Auction Theory, Second Edition, 2009.


『オークションの人間行動学 最新理論からネットオークション必勝法まで』ケン・スティグリッツ (著), 川越 敏司 (翻訳), 佐々木 俊一郎 (翻訳), 小川 一仁 (翻訳)
こちらは面白いトピックを読みやすくまとめてくれています。それでいて巻末付録のセオリー部分も読み応えがあります。おすすめです。

2011年7月21日木曜日

実験経済学11: 時間選好

自分の論文の発表スライドで講義しました。

"Non-parametric test of time consistency: Present bias and future bias"
Games and Economic Behavior
Volume 71, Issue 2, March 2011, Pages 456-478.

内容はこちらに。
http://takekan.blogspot.com/2010/08/games-and-economic-behavior.html

2011年7月19日火曜日

基礎ミクロ29:ゲームツリー

ゲームツリーの読み取り方について解説しました。これで教科書の内容はほぼ網羅しました。

『社会起業家という仕事 チェンジメーカーII』から、Teach for Americaのコラムと、「名誉の殺人」から人を救うNPOについて。志の高い若者たちの話。

2011年7月16日土曜日

基礎ミクロ28:ゲーム理論入門 囚人のジレンマ

ゲームの要素。ゲームには最適戦略があって、それをプレイしているかぎり、「必ず先攻が勝つ」「必ず先攻が負ける」「必ず引き分けにおわる」のどれかだ、という話を紹介。いちばん、わかりやすいのが、三目並べ(マルバツ)。これは必ず引き分けにおわる。

そのあと、ナッシュ均衡の定義を勉強。やや厳密性を欠くことには目をつぶって、じゃんけんにおけるナッシュ均衡を考えました。そのあと、囚人のジレンマゲーム、無限回繰り返し囚人のジレンマゲームについて計算しました。

ゲーム理論ならば、おすすめの本として、『利己的な遺伝子』を紹介しました。本当に面白い。

2011年7月15日金曜日

基礎ミクロ27:非線形プライシング 演習

50分かけて、自分で解いてもらいました。そのあと、モデルの解釈と、意味合いを説明。なぜ、Lさんに小さいパッケージを買ってもらわないといけないのか。また、Lさんの立場からすれば、そんな小さいパッケージではなく、少し大きめのパッケージでもいいから用意してくれれば、自分の消費者余剰も高まるし、売り手の利益も上がるはずなのに、どうしてそれをやってくれないのか。実は、Hさんのために、さらに大きいサイズのパッケージを用意してあり、それをHさんに高く売りつけたい(買っていただきたい)からです。そのためには、Lさん用のパッケージが、Hさんの目に魅力的(お得)に映ってはいけないのです。

今日、内容を紹介した本はコチラ。原題は、DENIAL。失敗したら会社がつぶれるようなビジネスの現場でさえ、危機に対処するための変革がいかに難しいかを教えてくれる。しかも、革新的な財・サービスを打ち出して企業を大きく成長させた経営者が、新たに生じた危機そのものを「否認」してしまいがちなことを、多くの有名な事例で紹介。電車のなかで読んでいて、駅をとばしてしまったくらい、ストーリーも面白いし、訳文がとてもいいです。おすすめしました。

2011年7月14日木曜日

実験経済学10:時間選好と現在バイアス

時間選好のアイディアを勉強しました。そして、指数割引が時間整合的であることを数値例でもって確認しました。そのうえで、現在バイアスがどういう意味でアノマリーなのかを確認。

2011年7月12日火曜日

基礎ミクロ26:非線形プライシング

お金をもっている人の財布からいかにすれば、たくさんのお金を出してもらえるかという問題を、ここでは非線形プライシング(価格差別)の問題だととらえて勉強してみました。

お金をたくさんもっている人をHさん、ふつうの人をLさんとしましょう。Hさん向けの製品と、Lさん向けの製品では、大きさも値段もちがいます。でも、Hさんに高いお金を払ってもらおうとして、あまり欲をかきすぎると、Hさんにそっぽを向かれてしまいます。Hさんは、Lさん向けに用意した製品を買ってしまうのです。Lさんに製品を売ることでそれなりに利益は稼ぎつつも、Hさんにはたくさんお金を払ってもらいたい。このトレードオフをうまく分析したのが、非線形プライシングの技術です。講義では、そのアイディアを紹介し、ラグランジュ乗数法で解ける制約条件付きの最大化問題として問題をとらえなおしました。


ウェブクラスに講義資料をアップロードしました。練習問題があるので、必ず解いてください。

2011年7月8日金曜日

基礎ミクロ25:無差別曲線の傾き、シグナルとしての教育、価格差別。

無差別曲線の傾きの導出を勉強しました。予算制約のもとで、プライステイカーである消費者が効用最大化すると、最適な消費点において、無差別曲線と予算制約線が接するわけだから。無差別曲線の傾きの出し方を知っておくことは重要です。実際、無差別曲線の傾き=予算制約線の傾き という式を解釈しなおせば、「基礎ミクロ22:価格あたりの限界効用 リスク・保険」で勉強したとおり、「予算制約つきの効用最大化問題を解いたときに(max u(x,y))、最適解において、x財の限界効用をx財価格で割ったものと、y財の限界効用をy財価格で割ったものが等しいはずだ」ということになります。

シグナルとしての教育、351~353頁。
非線形プライシングについては、数値例で勉強するために、プリントを配布しました。次回に続きをやるので、もらい損ねた人は、ウェブクラス内の参考資料からダウンロードしてください。

2011年7月7日木曜日

実験経済学9:プロスペクト理論・エルズバーグのパラドクス

アレのパラドクスを整合的に説明するモデルとして、プロスペクト理論の確率加重関数を勉強しました。確率加重関数のアイディアは、人は、客観的に与えられた確率を、一旦、バイアス(加重)をかけて認識して、その確率にもとづいて意思決定しているというもの。そして、加重後の確率にもとづいて期待効用を計算し、それが最大化されるような意思決定を行っていると考えれば、パラドクス(期待効用説では説明できない現象)に対しても一貫性のある説明ができるというわけです。

逆S字型の確率加重関数をもとに、Machina-Marschakの三角形に無差別曲線を描けば、うまい具合に扇形になります。その他にも、ギャンブルの選択におけるアノマリーも、逆S字型の確率加重関数にたよれば、それなりに説明がつきます。

最後に、エルズバーグのパラドクスを紹介しました。現実世界で「リスクがある」と言った場合、必ずしも「確率30%で、~が起きる」なんて事態を想定しているわけではありません。その確率の数字自体が未知であることが多いでしょう。それを経済学の文脈では、
ambiguity(あいまいさ)があるという言い方をします。エルズバーグのパラドクスは、あいまいさ回避という判断基準をあぶりだす好例でしょう。

学生さんのひとりに、altruistic punishment 論文紹介発表(20分)をしていただきました。とてもわかりやすい説明で、堂々とした発表でした。どうもありがとうございました。

2011年7月5日火曜日

2011年7月1日金曜日

基礎ミクロ23:リスクプレミアム、時間選好

前回の続きで334頁を勉強してから、第14章へ。368頁の図で、利子率が現在消費することと将来消費することの交換比率を決めていることを確認。であれば、利子率の変化には、代替効果と所得効果の2つの側面があるはずです。374頁の図でそれを確認しました。

2011年6月30日木曜日

実験経済学8:リスク選好・アレのパラドクス

アレのパラドクスを、さらに2つのやり方で実感してみる。ひとつは、別のギャンブルをひとつだけ用意して、そのギャンブルでの意思決定を考えることで、パラドクスがよりわかりやすくなるというもの。もうひとつは、Machina-Marschakの三角形で、再度、アレのパラドクスを図解してみました。宿題が出ていますので、コースナビを必ずチェックしてください。

2011年6月28日火曜日

基礎ミクロ22:価格あたりの限界効用 リスク・保険

予算制約つきの効用最大化問題を解いたときに(max u(x,y))、最適解において、x財の限界効用をx財価格で割ったものと、y財の限界効用をy財価格で割ったものが等しいはずだ。この意味をヒューリスティックに考えました。

つづいて、教科書第14章の332~334ページの図を勉強しました。

2011年6月25日土曜日

基礎ミクロ21:『女工哀歌』

女工哀歌 [DVD]
女工哀歌 [DVD]
『女工哀歌』というドキュメンタリー映画を視聴。メイド・イン・チャイナの安い商品(ここではジーンズ)を作っている工場での日常を、そこで働く少女の視点で描いています。時給7円(!)で、休みなく昼夜延々と働く工員たちの暮らしぶり。お湯も出ない、シャワーなんてない寮の部屋に寝て、となりの工場で早朝から深夜まで働く少女たち。

中国の奥地にいけば、時給7円で1日12時間以上働いてくれる労働力が豊富にある。フリーター問題・ワーキングプア問題、あるいはグローバル経済を考えるときに、見逃せない事実でしょう。邦題は、もちろん『女工哀史』からとったもの。大正14年、日本もまだまだ貧しかった。



この本では、「万人が生きるがためには、彼女[女工]を犠牲にせねばならぬという法は断じてあり得ない。」そして、この解決には搾取する資本家(働かざるもの)も働かねばならぬのであって、「...各人が義務服役をなすのである。ここにおいて...当然"工場国有"が実現するであろう。」としている。うーん、だが残念ながら、これが"寝言"であったのは歴史をみればわかること。一筋縄にはいかない。

2011年6月24日金曜日

基礎ミクロ20:「無差別原則」

『ランチタイムの経済学』第4章に載っている「無差別原則」について話しながら、均衡のイメージをつかみます。一般均衡を勉強したあとだったので、経済モデルに現実性がなくとも、そのエッセンスを無視することはできないことを考えました。この本のトーン、道徳の揚げ足取りのような態度は好きではないのですが、経済学モデルを考えるにあたってはとても良い副読本だと思います。


「経済なき道徳は寝言、道徳なき経済は犯罪」。経済学(者)は前者を強調するきらいがあるが、後者も忘れないでください。

2011年6月23日木曜日

実験経済学7:リスク選好・アレのパラドクス

確率的に結果が変わりうるときに、どのように意思決定をするのかを考えます。事前に計算できる金銭的利益の期待値を最大化するべきなのか、金額を効用関数のようなフィルターを通して、その上で期待値をとるのか、などなど。

ところで、コイン投げを100回繰り返すと、表は何回でるのでしょうか。「50回」と即答してしまいがちですが、それはあくまでも"平均的に考えたら"ということ。表がちょうど50回でる確率は、実は8%弱しかない。つまり、100人を集め、各人にコイン投げを100回してもらい、「表がちょうど50回出た人、手をあげて」と聞くと、だいたい8人ぐらいが手をあげて「50回出ました」と報告してくる。他の人はみんな、51回出たり、あるいは47回しか出なかったりということ。

さらにいえば、この「100人同時コイン投げ実験」をしたときに、そのうちの8人が「ちょど50回出ました」と報告してくる確率も事前に考えることができたりする。
で、表が出やすい歪んだコイン(表がでる確率がすこし高い)を考える。いま手元にあるコインが歪んでいるのか否か。断定的な結論を出すことはできないが、統計的にある一定の確率で間違っているかもしれないけど、どうやらこのコインは歪んでいるんじゃないか、とは言える。これがよく聴く「統計的に有意だ」と説明。

話を戻して、アレのパラドクスを説明しました。詳しくはまた次回。

2011年6月21日火曜日

基礎ミクロ19:パレート効率性・厚生経済学の基本定理

エッジワースボックス(2人2財の交換経済)で、パレート効率性・均衡価格・厚生経済学の第1基本定理の意味「市場均衡での配分はパレート効率的だ」を確認しました。そしてメッセージは、2人2財を拡張して考えれば、市場機構・価格機構が、いわゆる「クラウド」のイメージなんだということでしょう。


まず、太郎と花子の間の物々交換の話であったところに、あえて貨幣を導入します。物の値段というのは、その商品と1円玉との交換比率であるわけだけど、実は、2財(りんごとミカン)の値段を比べることで、その2財を仮に物々交換するとすれば、そのときの交換比率がいくつになるのかも間接的に規定しているわけです。物価体系→物々交換比率ということ。じゃ逆に、物々交換比率→物価体系というストーリーも考えられる。そこで、太郎と花子の間の物々交換を、太郎―市場―花子のように考え、各個人は市場と取引しているとみなしてみる。

太郎も花子もプライステイカーだと想定するので、いずれも、市場に提示されたりんご・ミカンの値段をみて、自分の「予算」の範囲内で効用を最大化するようにりんご・ミカンを需要します。ここで注意したいのは、市場が提示した価格に応じて太郎・花子が需要した量が、供給量(=社会に存在するりんご・ミカンの総量)に必ずしも一致しないということ。(需要量と総量が一致している図をいきなり描いている教科書も少なくないけど、あれはミスリーディングだと思います)。問題はなにかといえば、りんごorミカンが足りないこと。そして、足りないというのは、需要が多すぎるということ。(ややこしい話はおいておけば)、需要が多すぎるというのは、それが安すぎるからだろう。価格比が別のものならば、需要と供給は一致するかもしれない。

そこで、均衡価格の定義に戻れば、需要の合計と、供給量(=社会に存在するりんご・ミカンの総量)が一致するような価格比があるはず。うまく図を描くことができればOK。「市場均衡での配分は、パレート効率的だ」という厚生経済学の第1基本定理(のエッセンス)も確認できます。


余談:文章の書き方を中等教育でも大学でもろくに教えてくれない。大学受験の問題設定がそれを前提としていないからでしょう。たとえば、パラグラフにはトピックセンテンスを1文いれることを習ったことがあるというのは、本当に数人だけでした。ということで、木下是雄『理科系の作文技術』中公新書を紹介しました。秀逸。

2011年6月17日金曜日

基礎ミクロ18:エッジワースボックス

第8章のボックスダイアグラムの書き方・読み方。そして、契約曲線、パレート最適といった概念を勉強しました。

2011年6月16日木曜日

実験経済学6:公共財供給実験

公共財供給実験の結果について勉強しました。複数人で1組となり、各自が自分の初期の持ち点のうち、いくらかを拠出して公共財を作り、その便益を全員が均等に享受するというゲームです。利己的に振舞えば、公共財への拠出はゼロとするのが最適となるように利得構造が仕組まれています。それでも、完全に利己的な振る舞いをする人は少ないです。しかし、「経済学者はタダ乗りをする―――他に誰がするというのか?」という刺激的なタイトルの論文があり、合理的(利己的)思考になれた(あるいはそうした意思決定しかできない性格の人が多い)経済学者だけは例外で、経済学部の大学院生の拠出額が際立って低いことが示されています。

ともかくも、どういった要素が人々の拠出額に影響を与えるのかを探るために、あらゆる実験が行われてきました。同じゲームを繰り返すと拠出額は下がってきます。また、参加人数を増やしてタダ乗りの罪悪感を和らげたり、同じゲームを繰り返すものの、メンバーを入れ替えたり・入れ替えなかったり、etc。

2011年6月14日火曜日

基礎ミクロ17:所得効果・代替効果、労働供給

第6章残りと、第7章を勉強しました。労働の供給曲線を描くと、それが必ずしも右上りにならない背景について、十分に理解していただければ第6章はOKです。第7章では生産技術に関しても、無差別曲線と同じようなものを描くことができ、費用最小化問題を考えることができることを勉強しました。

さらに、ある一定量の財を生産する場合、もし社会全体での資源・費用を最小化するならば、各生産者の限界費用が等しくなっているはずだということを見ました。一方、市場では、各生産者が利潤最大化する結果、価格=限界費用となる水準まで生産するはずです。すると、市場で各生産者が利己的に行動しても、実は、フタを開けてみれば、社会全体での総費用が最小化されているのだということにもなります。

2011年6月10日金曜日

基礎ミクロ15:価格変化と消費行動

ラグランジュの未定乗数法を復習してから、教科書第6章の第1節を勉強しました。
半径Rで、高さhの円柱形の缶詰を考えて、以下2つの別のアプローチをとる。1.表面積(=缶をつくるのに必要な金属の量)に上限があって、その制限内で容積を最大化するように缶のサイズを設計するという問題、2.最低限Vだけは容量を確保するという制限があり、その缶に使用する金属の量を最小化する問題。

教科書では、予算制約を動かしながら、無差別曲線との接点がどのように動くのかを考えました。

2011年6月9日木曜日

実験経済学5:公平性(最後通牒ゲームと独裁者ゲーム)

公平性は、経済学のなかでも、現実の経済現象や経済的意思決定を考えるうえでも、重要です。ここでは、最後通牒ゲームと独裁者ゲームの結果を比べ、公平にみえる行為と利他的動機などについて考えました。公平性をそのまま効用関数に組み入れれば、不平等回避を加味した利得関数ができあがり、その不平等回避の強さを表すパラメーターを推定することができます。次にするべきなのは、そうして作った新しいモデルと推定したパラメーターで、異なる環境での意思決定を同様に説明できれば、モデルに意味はあります。

最終的な利益だけを単純に利得関数にいれるのは、プロセス(どうしてその利益を得るにいたったか)を重視しない、いわば帰結主義的なアプローチです。現実には、プロセスを重視して人々は意思決定しているので、非帰結主義的な評価をしているはず。たとえば、クイズを事前にやって、そのクイズの高得点者を提案者にしてあげるような場合。このケースでは、提案者の取り分が多くなることについて、提案者と(クイズの得点が低かった)受け手の間には、暗黙の合意が成り立つようです。あるいは、別の選択肢があって、1)公平な分配提案をできるにもかかわらず不公平な(8:2)を提案してきたとき、と 2)もっと不公平な提案ができたにもかかわらず不公平な(8:2)を提案してきたとき、とではん、(8:2)を受け手が拒否する頻度は大きく変わります。

2011年6月7日火曜日

基礎ミクロ14:予算制約下での効用最大化問題

x教科書にはないところを勉強しました。次のような、2財モデルでの効用最大化問題を考えてみましょう。

 .

予算Mの範囲内で、x財とy財を購入し、そこから得られる効用を最大化するという問題です。3つのアプローチで解きました。ちなみに、高校数学の範囲で十分解けるはずの問題です。

1つ目は、予算を使い切ることを前提に予算制約式から を求め、それを効用関数に代入する方法。あとは、それをxについて微分したものが、最適なにおいて、ゼロとなるはずだから、その等式よりが求まります。も予算制約から求めます。

2つ目は、前回の講義で勉強したように、効用を最大化する最適な消費点 において、無差別曲線と予算制約線が接する性質を使います。無差別曲線は なので、そのx-y平面における傾きは 。一方、予算制約線の傾きは、 。これらを等号でつなげばいいのです。

3つ目は、ラグランジュの未定乗数法と呼ばれるときかたです。こちらが本題でした。解法と、ラグランジュ乗数の解釈について、実際に計算して確かめました。

詳しくは、以下の148頁あたりをご参照ください。品切れなので、148頁~149頁だけを受講生のみなさんに配布する予定です。書籍化されるかもしれませんので、そのときぜひ購入しましょう。

経済学で出る数学 高校数学からきちんと攻める 2008年 10月号 [雑誌]
B001HWCR2Y

2011年6月3日金曜日

基礎ミクロ13:無差別曲線と予算制約

教科書Part2の一般均衡分析にうつり、今日は第5章を終えました。無差別曲線と予算制約下での効用最大化を勉強しました。「無差別曲線の性質」として、交差しない、右下がりだ、原点に対して凸だとか書いてありますが、それらはあくまで仮定にすぎません。実際の無差別曲線が必ずしもこうした「性質」を満たしているとは限らないので、性質という言葉遣いはミスリーディング。あくまで「(この)教科書で扱う無差別曲線の特徴」という意味にすぎない。経済学というアプローチのなかでとられる一般的想定にすぎません。

演習問題2を各自やっておいてください。

以下の本を紹介しました。学生時代を有意義に過ごすためのヒント。大学生活本はあまたあるが、たいていは読みにくい。この本は大変読みやすく、インタビュー実例もたくさんあり、良書です。

就活難民にならないための大学生活30のルール
常見 陽平
4072718009

2011年6月2日木曜日

実験経済学4:サンクトペテルブルクのパラドクス

さて、このゲームでは、コイン投げをして、表がでれば、コイン投げを続けることができます。裏がでた時点でゲームは終わりです。ゲームが終了するまでに、何回(連続して)表が出たかによって、何本のうまい棒がもらえるかが決まります。いきなり裏が出てしまった場合(表が0回のとき)は、うまい棒が1本もらえます。表が1回だけで次に裏が出てしまったら、2本もらえます。表2回で3回目に裏が出てしまった場合は、4本だけもらえます。このように、連続して出た表の数が1回増えるごとに、ゲーム終了時点でもらえるうまい棒の本数が2倍に増えていくのです。問題は、このゲームに一体いくら払って参加したいか(参加するのにいくらまでなら払いますか)ということ。実際に、一橋大学の学生さん125人に聞いてみた結果が右のグラフにある通りで、平均54円でした。

ここにパラドックスがあります。実は、理論的には、このゲームの参加費は無限大になってもおかしくないからです。ゲームの参加費を決めるときには、おそらく、「このゲームに参加すれば何本ぐらいのうまい棒が平均してもらえるのだろうか」と考えたことでしょう。ゲームに参加すれば、少なくとも1本のうまい棒はもらえるはず。それよりも多くうまい棒をもらうためには、少なくとも1回は表が出ればいいのだから、確率50%で、2本以上のうまい棒がもらえます。というように考えて、平均何本もらえるかを何となく予想するはずです。計算自体は簡単ですので過程を省きますが、驚くべきことに、平均してもらえるであろう本数は無限大となってしまうのです。だとすれば、ゲームに参加することには無限大の価値がある!? となります。感覚的にも、とてもそれには納得がいきませんし、学生さんが答えた平均54円という数字をどのように解釈すればいいのでしょう。

54円という数字を解釈するひとつの方法が「効用」という概念の導入です。人はうまい棒の本数だけにもとづいて判断するのではなく、そのうまい棒が自分にとってどれだけの価値があるか(それによってどれだけの満足度(効用!)が得られるか)を考えているはず。そこで、うまい棒ゲームでもらえるうまい棒を消費し、その消費から得られる効用の平均値(期待値)を計算するのではないかと思えます。実際に、得られる効用をうまい棒の本数の対数関数 log(x) として、効用の平均値を計算すると、それは無限大にならないことがわかります。

この log(x) という関数はヴェーバー‐フェヒナーの法則にうまく対応しています。刺激の物理量と、人がそれを知覚する強さは比例関係ではなく、対数比例しているという法則です。講義では、117番の時報を聞いてもらいました。時報の「ピピピッピーン」はラの音で、はじめの3つが基準音で、最後のッピーンが1オクターブ高いラの音。前者が440ヘルツ、後者は880ヘルツで周波数が2倍。さらにオクターブ上がれば、2倍の1760ヘルツなんだそうです。周波数(物理量)が2倍になるごとに、人はそれを1オクターブあがったものと知覚します。オクターブのピッチは、人にとって倍数ではなく、等間隔でしょう。これを表すのが対数関数です。

消費量(物理量)と効用(感覚量)についても同じように考えてもいいでしょう。うまい棒の本数(物理量)が増加しても、その効用(感覚量)は比例して増加するわけではありません。むしろ、ヴェーバー‐フェヒナーの法則にしたがえば、うまい棒の本数が2倍になるごとに、その効用は同じ絶対量(水準)だけ増加するということになります。つづきは講義スライドをごらんください。

2011年5月31日火曜日

基礎ミクロ12:費用逓減産業 公共財

教科書第11章の306~316頁。市場の失敗について、費用逓減産業の解説。市場が失敗しているというのは、要するに(市場にまかせていては)余剰が最大化されないということ。費用逓減産業では、赤字は出ていても、社会全体の余剰を考えると供給したほうがいいという状況になることを図解。その根拠について考えました。あえて価格付けをするなら、やはり限界費用に応じて価格を決めることが、余剰の最大化の観点から正当化される。

市場の失敗について、公共財のケース。教科書の説明はすこし足りないので、非排除性だけでなく、非競合性も紹介。

2011年5月27日金曜日

基礎ミクロ11:独占的競争 外部効果

252~254頁の独占的競争というモデルを勉強。プライステイカーではない企業が市場に複数いて、消費者をとりあう状況を考えました。第11章「市場の失敗」では外部効果について292~302頁を勉強しました。

外部性の例として、タバコを使いました。アメリカでの禁煙サインに、"Thank you for no smoking"というのがあって、それからタイトルにしたのがこちら。タバコPR社員の奮闘コメディーで、面白いので紹介します。
サンキュー・スモーキング (特別編) [DVD]
B003N14T3M

2011年5月25日水曜日

実験経済学3:効率性と公平性の考え方。うまい棒ゲーム。

市場均衡を勉強したので、今日は効率性と公平性についてミクロ経済学ではどのように考えるのか整理してみました。そのあとで、うまい棒ゲームをやりました。

「サンクトペテルブルクのパラドックス」をベースとした、うまい棒ゲームを考えます。まず、どのように理論と現実が相容れないのか(パラドックス)を理解し、その上で、理論を再解釈することでそれなりの決着をはかりましょう。「効用」という考え方によって現実の再解釈がうまくできます。そこに経済学モデルの意義、現実をうまく説明・理解できるという役割を見出すことができるのではないでしょうか。

さて、このゲームでは、コイン投げをして、表がでれば、コイン投げを続けることができます。裏がでた時点でゲームは終わりです。ゲームが終了するまでに、何回(連続して)表が出たかによって、何本のうまい棒がもらえるかが決まります。いきなり裏が出てしまった場合(表が0回のとき)は、うまい棒が1本もらえます。表が1回だけで次に裏が出てしまったら、2本もらえます。表2回で3回目に裏が出てしまった場合は、4本だけもらえます。このように、連続して出た表の数が1回増えるごとに、ゲーム終了時点でもらえるうまい棒の本数が2倍に増えていくのです。問題は、このゲームに一体いくら払って参加したいか(参加するのにいくらまでなら払いますか)ということ。

700円を支払ってゲームに参加してくれた学生さんがいました。残念ながら、いきなり裏が出てしまいましたので、うまい棒1本でゲーム終了となってしまいました。どうもありがとうございます、どうもすみません。

2011年5月24日火曜日

基礎ミクロ10:独占

第9章の独占。234~250頁。独占は、その市場に供給者である経済主体(企業)が1つしかなく、かつ、その企業がプライステイカーではない状況のことです。プライステイカーではないということは、生産量を増やした場合、それを売り切るためには価格を下げなければならないことを意味しています。逆に、価格を上げるためには、生産量を減らせばいいわけです。

2011年5月21日土曜日

基礎ミクロ9:長期・短期の均衡

土曜日なので出席者がいつもの半分くらい。そこで、第9章の独占はやらずに、経済学研究事情についてお話をしました。

余剰分析の練習問題を配りました。ウェブクラスにありますので、解いてみてください。後半30分だけ長期・短期の概念を勉強するため、いったん第3章72~76頁で短期費用曲線・長期費用曲線(図3-7)を読みました。そのあと、第4章IV節「企業の参入・退出行動と資源配分:完全競争市場の長期均衡」119頁を勉強しました。

2011年5月20日金曜日

基礎ミクロ8:余剰分析+長期・短期の均衡

教科書99~102頁の間接税の余剰分析(図4-6)。Dead weight loss という言葉も勉強しました。そのあと、第4章IV節「企業の参入・退出行動と資源配分:完全競争市場の長期均衡」112~119頁を勉強しました。


「夜警国家」と「警察国家」は意味するところが全然ちがいます。後者を戯画的に描いたものとして、ジョージ・オーウェルの『1984年』を紹介しました。

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
ジョージ・オーウェル 高橋和久
4151200533

2011年5月19日木曜日

実験経済学2:市場均衡の実験

前回にひきつづき、実験経済学の入門部分にあたる内容。実験経済学(あるいは行動経済学)は、必ずしもこれまでの標準的な経済学やその思考の枠組みを否定するものではないです、ということを解説しました。一橋大学でやった教室内市場実験の結果を紹介し、需要・供給曲線の交点が均衡だとするモデルが、それなりに現実的であることを示しました。


たまに、"合理的で利己的な人間だけを想定しているミクロ経済学は非現実的でまちがっている、だから心理的要素を考慮・加味した行動経済学が正しいんだ"というようなことを見聞きします。実験経済学をやっていると、たしかに標準的な経済学モデルとは全く異なる結果が観察されます。だからといって、そのモデルが"まちがっている"というわけではありません。そういうわけで、はじめにモデルも意外に正しいじゃんということを解説しようと思いました。

教室内市場実験では、実験を行う人(つまり私)だけが需要曲線・供給曲線の形を知っています。そして、売り手役・買い手役の人たちを多数用意します。売り手・買い手は、自分の利益の最大化のみを利己的に考えており、需要曲線や供給曲線がどういった形になっているのかは知りません。したがって、その2つの曲線が交じわる点(均衡価格)がどこにあるのかも知らない。こんな設定です。それでも、「わいわいがやがや」と多数の買い手・売り手が交渉して相対取引を成立させていると、その取引価格の平均は、モデルが予想する均衡価格に非常に近い値になることが知られています。実際、均衡価格60に対して、平均の取引価格は59.4でした。

ただし、完全競争がないので、ランダムにかつ排他的に1対1の売り手・買い手が価格交渉をはじめるという点に注意。その結果、どうしても、取引数量はモデルの予想よりも多めに出てしまうのです(この確認は自習用練習問題としてとっておきたいです)。それでも、モデルの予想はそれなりに正しいことがわかります。

以下の本を紹介しました。一橋で教えているミクロ経済学の副読本テキストですが、実験経済学の結果が多く紹介されているので、おすすめです。
「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)
ジェームズ・スロウィッキー 小高 尚子
4042977014

2011年5月17日火曜日

基礎ミクロ7:余剰分析

教科書第4章の余剰分析をやりました。米価の応用例の図解を考えました。

2011年5月13日金曜日

基礎ミクロ6:費用関数、供給曲線、生産者余剰

第3章「費用の構造と供給行動」を勉強。前回の続きで66ページの図3-3から、章末86ページまで。ただし、71-76ページにある「すかいらーくの例」とII節「短期費用曲線と長期費用曲線」、そして84ページ補論はスキップしました。

2011年5月12日木曜日

実験経済学1:数当てゲームにみる"合理性"

第1回は、イントロとして、数当てゲーム(美人投票ゲーム)にみる合理性という題目で講義しました。

生身の人間は、経済学が想定する合理的で"利己的な"行動をとるわけではありません。かといって、完全にランダムで非合理的な振る舞いをするわけでもないでしょう。生身の人間の行動にも、ある程度の規則性のようなものがあるにちがいありません。その規則性のようなものを、いろいろな実験を通じて理解したいですね。

具体例として取り上げたのが、「数当てゲーム(美人投票ゲーム)」です。ゲームのルールはシンプルです。各参加者が、0~100までのなかから数字を1つ選ぶ。その数字を全員分集計し、平均値を計算します。さらに平均値に0.7をかけて出た数字を当選番号とします。さっき選んだ数字が、この当選番号に一番ちかかった人が勝ち、というルール。

いわゆる"合理的な"想定をもとにナッシュ均衡を考えてみましょう。他の参加者を出しぬいて、少し小さめの数を選ばないとゲームには勝てません。全員が全員とも同じことを考えるとすれば、結局、全員がゼロを選ぶ(選ばざるをえない)という状況になるでしょう。
ところが、実際に教室にいた187人の学生さんに参加してもらったところ、以下の分布図のようになりました。平均値は27.3(当選番号は19.1)でした。19と書いた学生さん二人にじゃんけんをしてもらい、勝った方に賞品3000円の図書カードを差し上げました。



さて、ここでみられる"規則性"とはなんでしょうか。たとえば、「みんながテキトーに数字を選ぶなら50ぐらいが平均になるはずだから、自分はその一歩先をいって、35(=50x0.7)を選ぶ」というものや、「そのさらに先を選んで24.5(=35x0.7)を選んだ」という判断です。
などなど...

こんなことをこれから半年、勉強していきましょう。

2011年5月10日火曜日

基礎ミクロ5:消費者余剰

教科書52~65頁。消費者余剰、需要曲線の分解・合成。第3章に入り、供給曲線のおさらいをしました。消費者側の需要曲線を決定づけるのは「効用」であったように、生産者側の供給曲線の背後には「費用」があります。次回はその費用について、経済学ではどのように考えるのかを勉強します。

2011年5月6日金曜日

基礎ミクロ4:実験経済学と神経経済学

実験経済学と神経経済学について研究内容の紹介をしました。GW中だったので、教科書の内容はやらず、成績評価の対象外の番外編。最後通牒ゲームに関する研究内容を紹介しました。下の図は、提案者が手元にある1000円のうち、どれだけ(何円)を受け手に分配しようと提案したかを表しています(紫と青のちがいは後述)。学生46人が提案者だったときに、500円:500円の均等配分を提案したのはわずか9人でした。300円台が16人と最も多く、平均も340円でした。

さて、受け手も受け手で、1円のオファーでもOKだという人はほとんどいません。実際、最低許容額の平均値は、227円でした。その受け手と提案者をランダムに組み合わせてシミュレーションをしてみると、それぞれ提案がどれだけの確率(頻度)で受け入れられ、どのぐらいが拒否されるかがわかります。そのシミュレーション結果を表したのが、棒グラフの紫の部分と青の部分。たとえば、300円台を提案した16人は、平均すると12人が受け入れられ、4人が拒否されるということです。

さて、提案額が0円(ないしは1円)とならない理由として2つのことが考えられます:リスク回避(1円オファーを拒否する非合理的な受け手の存在がリスク)と、不平等回避(不公平な提案はしたくない)。リスク回避については、独裁者ゲームを考えることで排除し、残った不平等回避については、other-regardingで利他的な選好によって説明できるかもしれないと。

議論をすこしずらして不平等回避と非帰結主義の考え方・実験結果も紹介しました。非帰結主義とは、結果(提案額や最終的な利益)だけでなく、そのプロセスも大事にするということです。最後通牒ゲームでいえば、800円:200円という不公平な提案を受け入れるか拒否するかと、受け手が考えるときに、提案者が他にも選べたはずの選択肢が気になってくるというもの。たとえば、提案者には二つの選択肢があって、実は500円:500円も選べたくせに8対2を選んできたという場合と、同様に選択肢はふたつあって、1000円:0円を選ばずに8対2を選んできたという場合を比較。受け手は、後者の場合では、8対2を拒否しませんが、前者の場合では半分ぐらいの頻度で8対2を拒否します。結果だけじゃなく(もちろん定義にもよりますが)、過程を重視するよね、という示唆。

2011年4月26日火曜日

基礎ミクロ3:需要・供給曲線、均衡価格

テキスト38~53ページ(ただし、次を除く:41~43ページの「需要の価格弾力性」、45~47頁の例1と例2)。需要曲線のシフト、需要の弾力性、効用という概念も考えてみました。この段階では、満足度を金銭換算して考えるという解釈でOKです。

以下の本を紹介しました。
二十歳の原点 (新潮文庫)
高野 悦子
4101183015


総務部が中国の大連にアウトソースされるというエピソードは、この映画の冒頭でご覧になれます。
トウキョウソナタ [DVD]
B001RABG8C

2011年4月22日金曜日

基礎ミクロ2:需要・供給曲線、均衡価格

テキスト20~29ページ、需要曲線と供給曲線の読み方。なぜ、需要曲線が右下がりなのか(右上がりになっていると、なにがどう不自然なのか)を考えました。供給曲線についても同様です。

つづいて、32~34ページ。消費税の負担についての図解してみました。

レポート課題が出ています。ウェブクラスで提出してください。

2011年4月19日火曜日

基礎ミクロ経済学1:ガイダンス

ガイダンス:
教科書は伊藤元重著『ミクロ経済学』(日本評論社, 2003年)です。

1.教科書を使いながら、教科書にそって勉強するので、必ず購入してください。
2.WebClassで基礎ミクロに必ず参加してください。このウェブクラスで小テストや宿題の告知を行いますので、ウェブクラスを定期的に使用できることを履修の条件としています。ウェブクラスでの登録は、単位の履修登録とは関係なく行うことができますので、履修登録を考えている方は、まず参加してください。

ミクロ経済学
4535552614